築年数の古いマンションでなかなか売れずに苦戦していましたが、リフォームや値下げ交渉によって売り切ることができたようです。古めのマンションを売却する人には参考になることが多い体験談です。
売却したマンションの基本情報
- 【家族構成】夫50代、妻40代、子供なし、小型犬1頭(トイ・プードル)
- 【売却マンションの広さ・間取り】6階建てマンションの5階・約72㎡ 3LDK
- 【築年数】約17年
- 【マンションの住所】東京都八王子市
- 【マンションの最寄駅】京王相模原線「南大沢」駅
- 【駅からの距離】徒歩20分
- 【売却した年】2015年
- 【売却金額】1700万円
- 【売却活動の期間】約12ヶ月
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南大沢のマンションを売却・住み替えすることになった理由と経緯
自然豊かな周辺環境と通勤事情で選んだ「南大沢」
今から約20年前、結婚と同時に新居として選んだのは「南大沢」の新築マンションでした。
南大沢には特に縁もゆかりもなく、当時の私の勤務先が八王子市内にあり、30分以内で車通勤できる場所であることが第一の条件でした。そして第二の条件が、都会の喧騒を感じない、静かで周囲に自然も感じられる場所であることです。
夫婦二人とも運転免許と車を持っていたので、駅から遠いことは問題視していませんでした。
マンションを購入した当時、それほど発展していなかった南大沢は、その後驚くほどの発展を遂げ、3年前にマンションを売却したときには、こんな街になっていました。
- 京王相模原線「南大沢駅」は新宿まで準特急で約35分。
- 駅周辺に桜並木をはじめ、公園や緑が多い。
- 駅から徒歩3分圏内にショッピングモールやテナントビルが多数。
「南大沢駅」は準特急の停車駅。約35分で「新宿駅」に到着します。
また、2027年に開業予定のリニア中央新幹線の停車駅になっている「橋本駅」までは約5分と、今後の発展も楽しみな街です。
現在は、「南大沢駅」から徒歩3分圏内に、
- 大手スーパー「イトーヨーカドー」
- 肉のテーマパーク「東京ミートレア」
- 「三井アウトレットパーク 多摩南大沢」
- 図書館・市役所出張所・クリニックなどが入っている「フレスコ南大沢」
- TSUTAYA・ドラッグストア・クリニック・飲食店などが入っている「フォレストモール南大沢」
などがあり、買い物や飲食、急な病気にも困ることがありません。
桜の時期には、首都大学前の通りやベルコリーヌ住宅街につながる、見ごたえ充分の長~い桜並木や、公園もたくさんあるので、駅の周囲だけでも自然を満喫できる街です。アウトレットパークは「店内:犬OK」のお店が多いため、休日にはワンちゃん連れの人をたくさん見かけます。ペットを飼われている方は、より一層楽しめる街でもあります。
だからこそ、新しい引っ越し先として選んだのも、やっぱり「南大沢」なのでした。
「南大沢」から「南大沢」へと住み替えした理由は?
南大沢のマンションで暮らした17年間。
マンションの人たちもいい方ばかりで、特に不自由を感じることなく過ごしていました。
ただ、子どものいない私たち夫婦が中高年の域に入るようになり、次第に将来への不安を感じるようになりました。
- 80歳代になったときには築50年。マンションの劣化が心配!
- 駅から遠い。車を運転できなくなったらどうする?
今は問題なく過ごしていても、このまま同じマンションに住み続けると、80代になったときにマンションは築50年。さすがに建て替えやマンション丸ごとの大掛かりなリフォームなどの問題が現実のものとなる可能性もあります。そのときに年老いた状態で、引っ越しや一時退去などの対応ができるのか、とても心配でした。
また、「南大沢駅から徒歩20分」という距離感も問題でした。
車を運転できる状態なら何の問題もないのですが、人生何があるか分かりません。いつ、事故や病気で車の運転ができなくなるか分かりませんし、何も起きなかったとしても、高齢になったらいつかは運転免許を返上する日がやってきます。
そういった将来のことを考えると、新しいマンションへの住み替えを検討してもいいのではないかと思うようになりました。
ちょうどその頃、「南大沢駅から徒歩7分」の場所に新築マンションが立てられる計画があることを知りました。この先もずっと南大沢に住み続けたいと思っていた私たちは、その説明会に参加し、2014年の3月に思い切って買い替えることを決心したのです。
ただ、新しく購入したマンションはまだ建設前で、実際に住めるのはその翌年の8月から。それまでに古いマンションを売る期間は1年以上と、十分にあったのです。逆に今になって考えると、十分な売却時間があったことが、「あだ」となってしまったのかもしれません。
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引っ越しの3ヶ月前からマンションの売却活動をスタート
マンションの査定を複数業者に依頼
引っ越しまで1年以上あったので、現実的に売却できるようになる時期を待ち、実際は引っ越しの3ヶ月前から売却活動を始めました。
マンションの売却なんて、もちろん初めての経験。何をすればよいのか分かりません。
まずは、不動産仲介業者に相談に行き、査定をしてもらうことから始めました。
当然、地元の業者に行くべきだろうと、南大沢駅の近くにある2件の業者に相談しました。1件は、テレビCMでもお馴染みの大手業者。そして、もう1件は多摩地域をメインとした地元に強い中堅業者です。
大手業者は全国規模にわたる販売ネットワーク網を、中堅業者は地域での過去の実績数をそれぞれアピールしてきましたが、はっきり言ってサービス内容自体に差は感じられませんでした。「大手業者」がいいのか、「地域に強い業者」がいいのか、それも素人の私には判断できませんでした。
結局、明白だった違いはひとつ。見積価格が大手業者では1750万円に対して、中堅業者の提示額は約100万円程度低い金額でした。少しでも高く売りたい私にとって、この差はとても大きく、大手業者にお任せすることに決めました。
ただ、これだけ査定額に違いがあったという事実を今になって考えると、売却物件を集めるために高めに見積もるという大手業者の企業戦略だったのかもしれません。
大手と中小のメリットデメリットは下記記事に書いているので参考にしてください
参考記事大手か地元中小か?中古マンション売却で失敗しない不動産屋選びのポイント
仲介契約は「専属専任媒介」を選択
マンションを売却するにあたって、業者と契約を交わすのですが、契約の種類が3種類あることも初めて知りました。私たちは他の業者での販売ができない「専属専任媒介契約」を結びました。
「一般媒介契約」だと、同時に他の業者にも相談しながら販売ができるのですが、営業担当が言うには「一般媒介契約の場合、営業担当が自分で担当しているという意識が薄くなり、販売に力が入らないこともある」とのことでした。
参考記事デメリットも多い?一般媒介契約で中古マンション売却する際に知っておくべきこと
営業担当者にとっては、「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」にした方が、他の業者に取られる心配がないので、当然こちらを推奨してくるでしょう。
どれを選択するかは売り主の判断によりますが、例えば、「駅から近くて築年数が浅い」、言い換えるとすぐに売れるような魅力ある物件なら「一般媒介契約」で少しでも高く売るのもありだと思います。
私たちの場合は、「駅から遠くて築年数が経っている」物件だったので、「責任を持って真剣に売ってほしい」という思いが強かったため、「専属専任媒介契約」を選びました。
「専属専任媒介契約」では1週間に1回以上、売却状況について売り主への報告義務があるため、書面や電話での状況報告がありました。
メモ:3種類の媒介契約
- 【一般媒介契約】
→ 複数の不動産会社に売却依頼が可能で競わせることができる。自分で買い手を見つけてくること(自己発見取引)も可能 - 【専任媒介契約】
→ 一社のみと契約し、契約期間中は他社と契約できない。自分で買い手を見つけてくること(自己発見取引)は可能。 - 【専属専任媒介契約】
→ 一社のみと契約し、契約期間中は他社と契約できない。自分で買い手を見つけてくること(自己発見取引)もできない。その代わり、活動レポートを細かく報告してくれたりと、サービスレベルでは最も手厚い。
売り出し価格は高めに設定。1820万円からスタート
査定価格は1750万円だったのですが、売却のテクニックとして「最初はワンランク高めに設定して売り出して様子を見て、反応を見た上で査定価格まで下げる」という方法があると営業担当からの提案があったので、これに乗りました。
最初に1820万円の金額で広告を出したのが2014年の5月。8月に新築マンションへの引っ越しを控えていました。
最初の広告は同じマンション内にチラシとして配布すると聞きました。そこに既に住んでいる親族や親戚などに売れるケースがあるそうです。
しかし、相場より高い金額での反響は薄く、1ヶ月後に1750万円に値下げすることになりました。
これは想定内のことで、金額を下げたことによる割安感での売却を期待していたのですが、思ったほどの反響はありませんでした。まだ私たちが住んでいる状態でしたのでリフォームもできません。
業者への問い合わせは何件かあったようですが、私たちが住んでいる間に1組だけ内覧のお客様がいらっしゃいました。契約には至りませんでしたが、住んでいる状態での内覧は難しい点があります。
もちろん事前に連絡はありますが、いつも室内をきれいにしているわけではありませんし、見せたくない場所もあります。また、どんな人がどんな使い方をしているのかも露骨に分かってしまうため、できれば空室の状態を見てもらいたいと思いました。
空き家の方が広く見える効果がありますし、何もない空間の方が購入希望者が「理想の生活をイメージしやすい」からです。
さらに価格設定を見直し、リフォームも実施
売れないマンションに管理費二重払いの悲劇
新しいマンションに引っ越した後も「マンション売却」の朗報は届かず……。
ここで問題になってきたのは、新・旧両方のマンションの管理費・特別修繕費をダブルで払っていることによる家計への圧迫です。売れなければ、月3万円ずつ余分な出費を払い続けることになります。
こちらのそんな胸の内を察してなのかは分かりませんが、営業担当から再度値下げの提案がありました。
このまま売れ残り続けてしまう恐怖心も手伝い、これ以上下げないことを条件に、1680万円まで下げることになりました。
内覧者も5組程度あったと聞いていますが、いずれも惜しいところで契約には至らなかったとのことです。理由を聞いてみると、「壁などの汚さが目立ち、リフォームするとしてもその後の部屋の姿が想像できない」ということらしいです。
それではと、こちら側でリフォームを施すことに決定しました。
中古マンション売却の内覧時に入念に掃除すべき場所【空室/居住中のケース別】
マンション内覧に備えたチェックリスト|買い手に好印象を与えるコツとは
簡易リフォームで見た目の印象がガラリと変わった!
リフォーム業者は不動産仲介業者からの紹介です。当初のリフォーム見積もりの提案書は合計180万円という、とんでもない金額でした。これにはユニットバスの丸ごと交換なども含まれていました。
見た目だけを何とかしたいという思いでしたので、以下の最低限のリフォームを施しました。
リフォームした箇所
- 壁、天井クロス張替え
- 水回りクッションフロア張替え
- 和室畳替え
- ふすま張替え
- フローリングWAX仕上げ
- ルームクリーニング
リフォーム代は合計で約70万円の費用に抑えました。
もちろん仕上がりを見に行きましたが、これだけの施工内容でも本当にきれいにリフォームされていて、これなら自分がこのまま住み続けても問題ないと感じるほどでした。
参考記事中古マンション売却時にリフォームは必要か?メリットデメリットと費用について
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リフォーム後、早速買主が現れる!
70万円のリフォーム費用はそのまま売り出し価格に上乗せし、「リフォーム済み物件」として1750万円で売り出しをかけました。
すると・・・
それはいきなり訪れました。リフォーム後に広告を出したわずか一週間後のこと。一年間売れなかった部屋を「購入したい人がいる」とのこと。すでに内覧も済ませているとのことです。
ただひとつ、金額面で迷っており、1700万円なら即決できる様子。このあたりは最後の交渉の駆け引きになると思うのですが、こちらは一年売れなかったものが売れるということに高揚していたため、その条件をそのままのみました。
実質的には再度値下げしたことになりますが、売れずに管理費を払い続ける恐怖には勝てませんでした。また、不動産仲介業者には別途手数料として約60万円を支払いました。
売買契約はあっという間に終了
契約は実際の買主様と対面し、スムーズに進みました。営業担当からの説明を聞きながらお互いに書類に名前や住所の記入と押印の繰り返しで、1時間程度で終了しました。
その後、銀行に行って、買主様が私の口座にお金を振り込み、私が振り込まれたことを確認して、全ての手続きが完了しました。
マンション購入時に付属されていた様々な説明書類は、あるだけかき集めて事前に営業担当に渡していましたので、営業経由で買主様に渡っているようです。
買主様とは、この日一度だけお会いしたことになります。少し意外だったのはファミリー層ではなく、50代の女性の方で一人暮らしをされるとのこと。プライベートなことなので細かいことは聞けませんでしたが、息子さんが近くに住んでいるようです。
3LDKの部屋なので将来、息子さん夫婦やお孫さんが遊びに来ても十分に泊める広さがあり、マンション前には広い公園もあるので、自然に触れながら楽しく過ごされるところを想像してしまいました。
参考記事中古マンション売却の決済日(引渡し日)の準備と流れ|手続き手順、必要なもの
まとめ
南大沢のマンション売却で教訓として学んだことは2点です。
- 古いマンションはリフォームした方が有利。
- 余裕があれば売却時期も考慮した方がよい。
まずリフォームについて。
私は、売主がリフォームするよりも、買主が購入後に自分の好きなようにリフォームした方が良いだろうと思っていました。しかし、築年数の経ったマンションは汚れや傷が目立ちます。部屋そのものや立地条件が良くても、見た目の第一印象ではじかれてしまうケースが多いようです。
また売却時期について、営業担当者の話では、1~3月が一番売れやすいとのこと。
4月からの新生活に合わせて購入される方が多いからです。その点、私たちは5月から売却活動を始めたので、時期的にも売れにくかったのかもしれません。
今でも売却したマンションの前を車で通る機会があります。信号待ちで停止した時は、つい住んでいた部屋を見上げてしまいます。
マンションは人生でも大きな買い物ですが、思い出も積み重ねられていくもの。大切な思い出が詰まったマンションを売るときは、計画を立てて大事に売ってあげたいし、できればまたそこで大切な思い出を積み重ねていただける方に買っていただきたいですね。
築年数の古いマンションをリフォームで起死回生した成功例でしたが、リフォームは下手するとリフォーム代金を、売却金額に上乗せでペイできないケースも多いので、慎重な検討が必要となります
リフォーム業者の見積もりも鵜呑みにせず、必要な部分だけに限定してリフォーム代金を抑えたのが良かったですね
【追伸】自宅マンションがいくらで売れそうか把握していますか?
マンションの売却を検討しているのであれば、まず最初にすることが「査定に出す」ことです。自分のマンションがおおよそどの程度の価格が付くのか分からないと、住宅ローンや住み替えなど計画が立てられません。
査定は無料でできるので損することはないですが、一応マンションを査定してもらうときのポイントが2つあります。
まず複数の会社に査定依頼して「比較」をすること。
大手と中小のどちらにも査定してもらうこと。
まず、査定依頼は必ず複数社に出すこと。不動産会社によって付ける価格はバラバラなので、それを並べて比較することで相場感が見えてきます。最低でも4社以上には査定してもらいましょう。
そして、査定は大手だけでなく中小にも依頼すること。大手は抱えるデータ数も多いですがマニュアル化されているので機械的に数字を出しがちです。対して地元密着の中小は”狭く深く”であり、地元におけるより細部の内情まで熟知しているので大手には見えない面まで査定に反映してくれます。
近年は、大手も中小も含めて複数社に一括で査定依頼できる「一括査定サービス」があるので、わざわざ複数社にコンタクトする必要はありません。
例えば一括査定サービスの大手「イエウールでは、最大6社への査定依頼がわずか60秒で終わります。
公式HPイエウール
もちろん完全無料です。ひと昔前からは信じられないほど便利な時代になりましたね。
入力も超簡単で、マンション情報を入れるだけですぐに査定開始できます。
もちろん全国対応しているので、地方の人でも安心です。提携している大手中小合わせて最大6社の対応可能な不動産会社を自動で選択して見積もりを出してくれます。
マンションの目安価格が分からないと売却するもしないも判断できないので、まずはサクッと査定してもらうことから始めましょう。
マンションバブルの崩壊が不安な人は、現在の自宅マンションの価値がどうなっているか把握しておけば、今後取るべき行動も判断しやすくなると思います。