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エルザタワー55の大規模修繕は総額12億円(1戸185万円)!初タワマン修繕としての成功事例

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エルザタワー55

https://www.rehouse.co.jp/mansion/bkdetail/FN3W2A29/

(写真出典:https://www.rehouse.co.jp/

今や乱立しているタワーマンションの先駆けと言えるのが、1998年に埼玉県川口市に建てられた「エルザタワー55」。55階建の超高層マンションであり、当時は住居用建造物として日本一高いマンションでした。

そんなエルザタワー55ですが、日本のタワーマンションでは初となる大規模修繕工事を2015年〜2017年にかけて行いました。

丸二年をかけた修繕費、実に総額12億円……!!

タワーマンションの大規模修繕というのは大体12〜15年周期で行うのですが、タワマン自体が2000年代半ばから乱立し始めたので多くのタワマンが2020年から続々と大規模修繕の時期に入ります。

しかし、いかんせんタワマンの大規模修繕というのが前例がほぼなく、かかる金額や工数など未知数な部分が多く、その意味で唯一と言っていい前例であるエルザタワー55の大規模修繕というのは貴重なデータなわけですね。

というわけで、エルザタワー55の修繕工事について振り返ってまとめてみます!

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エルザタワー55 大規模修繕工事の概要

エルザタワー55の基本情報

 

川口エルザタワー55

  • 【所在】埼玉県川口市元郷
  • 【建設】1996年10月〜1998年3月
  • 【戸数】650戸
  • 【階数】地下1階、地上55階
  • 【高さ】185m
  • 【修繕工事】2015年〜2017年

Wikipedia(エルザタワー55)より引用

工事費用は12億円。1戸あたりの負担は約185万円

エルザタワー55は1998年建設なので、17年で最初の大規模修繕工事をしたことになりますね。工事は2015年3月着工〜2017年2月完了と丸2年もの時間を要し、工事費用は総額12億円にのぼりました。

単純計算で1戸あたりの負担は約185万円。12億円全額を積み立てていた修繕金で賄っています。

ちなみに、次回の大規模修繕(また15年後くらい)は費用が足りない見通しなので、修繕積立金の値上げが予定されているようです。

タワマンの修繕は「足場」の建設に最もコストがかかる

タワマン修繕ならではですが、エルザタワー55では修繕費用12億円のうち仮設足場のコストが実に3割を占めたらしいです。

普通の10階建て以下くらいのマンションであれば、地上から鉄鋼の足場を組み立てて外壁の修復にあたりますが、高層タワーマンションになると高層階は足場が組めずゴンドラを使わないといけません。

エルザタワー55の場合、

  • 1階~7階:一般的なマンション修繕と同じ枠組み足場
  • 8階~50階:昇降式のリフトクライマー
  • 51階~55階:清掃用のゴンドラ(改造)

というように足場を建設しています。こうした特殊な設備に莫大なコストがかかるわけですね。

とくにゴンドラは作業人数やスペースが限られるので、工事の効率としては非常に悪い。さらに暴風暴雨など天候によって危険を伴うので作業が中断されて時間効率も悪い。当然、工期が長期化するほど時間も人件費もかかり費用も高くなります。

この点がやはりタワーマンションの修繕費を食っているポイントでしょう。

建設会社は、この高層マンションの足場をどう工夫してコストを下げるかが腕の見せ所ですが、タワマンの工事事例がまだ少なすぎるので、ノウハウや技術が確立していくのはまだこれからでしょう。

 

エルザタワー55の大規模修繕工事がうまく完了した理由

エルザタワー55の修繕工事は、前例のないタワマン初の大規模工事としてはとても上手くいきました。

スケジュール的にみてみると、

  • 2007年、管理組合に修繕委員会を設置
  • 2012年、施工を見積もるコンサル募集
  • 2013年、コンサル1社に業務委託
  • 2014年、施工業社の決定
  • 2015年〜2017年、修繕工事

管理組合の設置から修繕工事完了まで実に10年かかっていますが、その間に大きなトラブルはなく修繕工事までこぎつけました。

しかも、総工費12億円も全てプールしていた修繕積立金でまかなえており、一時的な追加徴収などはしていないようです。

なぜこれほど大規模修繕がうまくいったかと言うと、エルザタワー55には投資用目的の所有者が少なかったことが挙げられます。まだタワマン投資が一般的でなかったので、自宅としてみんな買っていたんですね。

そのためみんなに当事者意識があったため、管理組合がしっかり機能したわけです。

 

タワーマンション修繕問題の何が難しいかって、管理組合がちゃんと機能しにくいことにあります。

今のタワーマンションは投資用目的で購入されるケースが多く、中国人をはじめとする外国人投資家がオーナーになっているケースも非常に多いです。そうした投資家たちは売却が前提で修繕工事に当事者意識もないため、修繕に向けた話し合いが思うように進みません。投資家オーナーが多いと管理組合がちゃんと機能しにくいのです。

 

まとめ

タワマン修繕のノウハウが蓄積されていけば、もう修繕費の見積もりをミスって積立金が全く足りずに追加徴収で住人とトラブル……なんて例は減っていくでしょう。

しかし現状、迫りくるタワーマンションの大規模修繕を前に積立金が足りないという問題が取り沙汰されています。

参考記事
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最近、タワーマンションの修繕費について話題になることが増えてきました。 というのも、現在乱立しているタワマンは2000年 ...

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そう考えるとやはり、エルザタワー55の大規模修繕は、タワーマンション修繕初の事例としてはとても上手くいった例のように思えます。

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