5分で分かる!マンション売却の流れを6つのステップでわかりやすく解説
ここでは、マンション売却のスタートからゴールまでの流れを、初めての人にもわかりやすく一挙解説します。各ポイントごとのより詳しい情報は個別の詳細記事を用意しているので、そちらも合わせてご参照ください。
まずマンションを売却するまでには、大まかに以下6つのステップを辿ることになります。
- 査定依頼
- 媒介契約の締結
- 売却活動
- 申込
- 契約
- 決済・引渡し
以下、マンション売却の流れに沿って、ステップごとにもう少し詳しく説明していきます。
ちなみに……
※ここでは「通常の売却」を前提に解説します。
通常の売却とは、不動産会社に仲介を依頼し、個人の売主に売却方法です。
例外として不動産会社(買取業者)の直接買取や、不動産会社を介さない個人間売買などがありますが、一般的には通常の仲介売買を選択するケースがほとんどなので上記の流れを理解していれば問題ありません。
STEP1:まずはマンションを査定してもらおう
査定とは、不動産会社がそのマンションを売却できるであろう「目安価格」を提示することです。
不動産には定価がなく、不動産会社は各々の経験則や過去の実績から目安価格を割り出すため、不動産会社によって査定金額が数十万〜数百万も違うことも多々あります。
なので、相場観を知るためにも、査定依頼は1社だけでなく必ず複数社に依頼します。
査定の方法は、「机上査定」と「訪問査定」の2種類あります。
- 机上査定:物件データや資料をもとに算出する方法
- 訪問査定:机上査定に加え、実際に物件を訪問して算出する方法
まずは机上査定を依頼
まずは机上査定をしてもらいます。
机上査定は、ネットなどから無料で簡単に依頼できます。一度に複数社へ査定依頼できる一括査定サイトを利用すれば、わざわざ個別に依頼を出さなくても複数社まとめて依頼できます。
机上査定は、査定依頼をしてから1~2営業日後には結果が出るので簡単です。
査定金額が出ておおよそのマンションの価値が分かったら、いざ売却に進むか否か判断します。
売却活動に入るなら、訪問査定でより正確な査定をしてもらう
売却を決めたら、次は机上査定を出してもらった不動産会社と連絡を取り、日程を合わせて訪問査定をしてもらいます。実際にマンションや部屋を見てもらうことで、より正確な目安価格を精査できるためです。
訪問査定をお願いするのは、何社でもかまいません。一括査定してもらった全社にお願いしてもいいし、その中から数社を選んでお願いするのでもOK。
ただ、訪問査定は所要時間30分前後、長い会社だと1時間程度かかることもあります。多すぎると手間がかかるので、3社程度に絞った方が無難かとは思います。
一括査定の注意点
査定金額はあくまで”目安価格”であり、”売れる価格”ではありません。その点を理解し、査定金額だけで不動産会社など諸々を判断するのは危険です。
というのも、売却依頼を勝ち取りたいがためにワザと”高い査定金額”を出して顧客を釣ろうとする悪どい不動産会社も一部存在するからです。
詳細記事マンション売却の罠!査定金額が高すぎる不動産会社は注意すべき理由
一括査定をしてもらった段階で、明らかに他より高い査定金額を出してきた会社はその時点で弾いておきましょう。
STEP2:売却依頼する不動産会社を選び、「媒介契約」を結ぼう
不動産屋選びのポイント
数社に査定をしてもらったら、その中から実際にマンション売却を依頼する会社を選びます。
訪問査定などを経て一番相性の良さそうな会社を選ぶのがベストですが、最低でもネットに強い不動産会社であることを条件にしましょう。
もう少し具体的に言うと、
- 会社ホームページが綺麗で見やすいこと
- 大手ポータルサイト(スーモやホームズなど)に物件掲載していること
この2つが最低条件です。
後述しますが、今の時代はネットが活用できないと致命的です。しかし不動産業界は比較的高齢で、ネットに疎かったり、ネットを敬遠して昔ながらのアナログなやり方を貫いている会社も数多くあります。
そういう会社は自社ホームページがすでに古臭かったり、1990年代のペラサイトみたいないチープな作りだったりするのですぐにわかります。
契約前に必ず、会社ホームページの確認と大手ポータルサイトでの広告の有無は確認した方がいいでしょう。ポータルサイトの掲載は直接担当者に聞いてしまってもOKです。
そのほかの細かい見極めポイントについては下記記事を参考にしてください。
参考記事こんな会社は注意!マンション売却で失敗しない不動産屋選びのポイント
媒介契約の種類
売却を依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を結びます。
「媒介契約」とは、売主と不動産会社が結ぶ契約のこと。不動産会社に自分のマンション売却を正式に依頼する契約になります。
媒介契約には、以下の3種類があります。
一般媒介契約
- 複数社の不動産屋に並行して売却活動を依頼できる。
- 自分で買い手を見つけた場合は直接契約(手数料なし)で売却できる。
- 売り主への売却活動の報告義務なし
詳しく⇒デメリットも多い?一般媒介契約でマンション売却する際に知っておくべきこと
専任媒介契約
- 売却活動を依頼する不動産屋は一社のみ。他への重複依頼は禁止。
- 自分で買い手を見つけた場合は直接契約(手数料なし)で売却できる。
- 2週に1回、売り主への売却活動の報告義務あり
詳しく⇒マンション売却で最も多い「専任媒介契約」のメリットデメリットとは
専属専任媒介契約
- 売却活動を依頼する不動産屋は一社のみ。他への重複依頼は禁止。
- 自分で買い手を見つけた場合も直接契約は禁止
- 1週に1回、売り主への売却活動の報告義務あり
結論から言っておくと、マンション売却は専任媒介契約がおすすめです。実際に最も多く契約されているの専任媒介契約です。
一般媒介契約は、複数社に同時に売却依頼できるので「複数社に競わせることができる!」というメリットがありそうに思えますが、不動産会社からすると「最終的に選んでもらえなければ1円にもならない」というリスクがあるため、広告費をかけられず、売却活動にも身が入りにくいのが一般媒介契約の実情です。
なので、1社専任でお任せした方が相手も気合いの入り方が違います。
となると「専任媒介契約」か「専属専任媒介契約」になりますが、専属専任を選びメリットはあまりないので、消去法で専任媒介契約が選ぶのが主流です。
詳しいメリット・デメリットは下記記事を参考にしてください。
媒介契約書で決めること
媒介契約書では、以下のことを決めます。
- 仲介手数料率
- 仲介手数料の支払い時期
- 媒介契約書の有効期限
仲介手数料の支払いは、契約時半金、引渡し時半金のケースがほとんどです。
また、媒介契約の有効期限は最大3か月です。”最大”と言いつつ大抵の場合は3か月で契約します。
つまり、1度契約を結んだら3ヶ月間は変えられないので、「どの不動産会社にするか」「どの契約の種類にするか」はよく検討して契約を結ぶようにしましょう。
STEP3:いざ売却活動のスタート!
契約を結んだら、売却活動のスタートです。
不動産会社が行なってくれる売却活動は、大きくは2つです。
- ネット広告やチラシ広告での集客活動
- 見学希望者への物件案内(内覧)
まずは広告活動で見込み客を集客
不動産会社が行う広告活動というのは主に以下の通りです。
- レインズ(業界専用の物件情報サイト)への登録
- ネットのポータルサイトや不動産サイトへの掲載
- 自社ホームページへの掲載
- 周辺地域にチラシのポスティング
このうちどこまでを行うかは不動産会社ごと判断になりますが、なるべく全ての広告活動をしてくれる不動産会社に任せた方がいいです。
それぞれの広告についてもう少し詳しく説明しましょう。
レインズへの登録で、他社から買い手を紹介してもらえる
「レインズ」というのは、不動産業界向けの物件情報サイトです。あらゆる物件情報が登録されているサイトで、業界の中心にある共通データベースです。
不動産会社は物件の売却を依頼されたら、依頼内容によって期限内に売却物件の情報をレインズに登録するルールがあります。
契約別のレインズへの登録義務
- 専任媒介契約:契約より7日以内
- 専属専任媒介契約:契約より5日以内
- 一般媒介契約:任意
レインズにマンション情報が登録されると、他の不動産会社も売り出し情報を閲覧することができます。すると他社の抱える顧客から購入希望者を紹介してもらえるケースも多いので、いち早く買い手を見つけることができます。
レインズは業界専用の共有サイトなので一般人は見れません。なので営業担当者に確認を取りましょう。
大手ポータルサイトは最大の集客経路
今の時代、物件を探す人の半数以上がまずネット検索をすることがわかっています。なので、大手ポータルサイトに広告掲載してもらうのは必須です。
マンション名で検索すれば分かりますが、検索結果の上位に出てくるのは「SUUMO(スーモ)」や「アットホーム」「ホームズ」などの大手ポータルサイトです。これらの大手どころに掲載していないと、ネット検索している50%以上の買い手候補を逃すことになります。
これは不動産会社選びの時点での見極めポイントにもなりますが、必ず大手ポータルサイトに広告掲載している不動産会社を選びましょう。
昔ながらの老舗不動産屋とかだと、ネットに疎かったり広告費をケチったりしてポータルサイトに掲載しない不動産会社も結構ありますので。
自社ホームページでの掲載
大手ポータルサイトだけでなく、自社ホームページにも物件情報を掲載します。
ただ、不動産会社のホームページが古臭かったりチープだったりすると、集客できそうなユーザーも離れてしまいます。なので、事前に不動産会社のWebサイトをチェックして、綺麗で見やすいサイトに仕上げているところを選んだ方がいいです。
周辺地域へチラシのポスティング
売却物件の周辺地域には、広告チラシをポスティングします。広告には「マイソク」と呼ばれる販売図面が使われます。
マイソクは不動産会社が作成しますが、白黒カラーでちゃちゃっと作る会社もあれば、デザイナーが細部までこだわって作る会社もあります。
このマイソクのクオリティやセンスで集客力は大きく変わるので、なるべく綺麗なマイソクを作ってくれる会社にお願いすること。また丸投げせず売り主も自身でマイソクを確認し、アピールポイントがズレていないか進言しましょう。
もし、マンションを売却することを周囲に知られたくない場合は、チラシ広告のポスティングはしないよう予め不動産会社に伝えておきましょう。
見込み客の内覧案内
広告から内覧の申し込みが入れば、営業担当者が物件を案内します。
売れるかどうかは内覧が勝負といっても過言ではないので、内覧に備えてはハウスクリーニングなど準備を完璧にしておきましょう。
内覧のポイントについて詳しくは、下記記事をお読みください。
内覧に売り主も立ち会うかどうか決まりはありませんが、初回の内覧では売り主はいない方がいいかもしれません。内覧者も売り主本人がその場にいるとリラックスして見て回れないからです。
とくに、男性の方は内覧時は席を外した方がいいです。どうしても同席したい場合でも、内覧者が部屋を見ている間は共有スペースで待っているなど配慮しましょう。
初回の内覧で見込み客が気に入れば、もう一度内覧に来る可能性が高いです。その際は売り主も同席して、居住者だから分かるアピールポイントを伝えるなどして、背中を押してあげましょう。
物件案内のときは、基本的に売主も立ち会うので、売却活動中の週末は慌ただしいです。また、見学者が来る前に、家の掃除や出迎え準備があるので、その辺りの手間がある点も忘れてはいけません。
売却までの目安は3ヶ月
一般的に、マンション売却の目安期間は3ヶ月とされています。
東京カンテイの資料によると、過去10年の中古マンション販売で、3か月以内に売却できる物件は7割近くです。ただ、これは競合物件の有無や価格戦略にも当然よります。
ひとまず、マンション売却のスケジュールは最低3ヶ月は見積もっておきましょう。
売却スケジュールに応じた価格戦略
売却スケジュールに応じた基本的な価格戦略として、「3つの価格」を想定しておくことが大事です。
- 売りたい価格
- 売れる価格
- 売らなきゃいけない価格
この3つです。
1. 売りたい価格
「売りたい価格」というのは、売り主の希望売却価格です。
このくらいで売れれば、住宅ローンも完済できて利益も出せるだろうなーという価格。理想の価格であり目標価格でもあります。
2. 売れる価格
「売れる価格」というのは、現実的に売れる価格です。
つまり、これが不動産屋が出してくる査定価格ですね。過去の取引実績や査定ポイントを精査し、この程度で売れるだろうという現実的な数字です。
3. 売らなきゃいけない価格
「売らなきゃいけない価格」というのは、最低限譲れない価格です。
つまり、最低でもこの金額はキープしないと住宅ローンが完済できない……売却収支をマイナスにしないための最低ラインです。
この3つの価格を予め設定しておき、売却スケジュールや競合物件の有無などによって価格変更を行なっていく必要があります。
価格戦略については下記記事で具体的にまとめているので、もっと詳しくは下を参考にしてください。
STEP4:申込を受け付ける
売却活動で検討者が現われ、内覧も終えて価格交渉などで合意できれば申込を受け付けます。
申込を受けると、ほかの人がその部屋を重複して申し込むことができません。申込者のために部屋を抑えるということになります。
ただ、申込をキャンセルしても買主・売主にペナルティはないので、売主は買主の申込キャンセルを防止するために以下のようなルールを設定します。
- 資金確定の条件
- 契約日の条件
資金確定の条件とは、たとえば住宅ローンを組んで購入する人は、住宅ローンの承認を得ていなければ申込を受け付けないなどのことです。
また契約日の条件とは、申込から契約までは最長でも1週間など、契約日を早くするための条件です。
STEP5:契約に進む
申込から概ね1週間以内に契約を締結します。
契約締結時に知っておきたいのは以下の点です。
- 手付金の設定
- 契約前に住宅ローンの確認
- 契約日当日の流れ
それぞれ説明します。
手付金の設定
申込のときにはキャンセルしてもペナルティはありませんでしたが、契約はキャンセルのペナルティがあります。
そのペナルティが「手付金」です。
契約時に、売主は買主から売買金額の一部を手付金として預かります。買い主は手付金を預けたあとに契約をキャンセルすると、手付金を放棄しなければなりません。つまり「違約金」の働きとなり、契約後キャンセルの防止策です。
この手付金は、売却金額の20%以下であればいくらに設定してもOKです。手付金額が高ければ高いほどキャンセルリスクを軽減できるので、売主としてはできるだけ高く設定したいです。
金額については、不動産会社の担当者と相談して決める流れになります。
詳細記事マンション売却の手付金とは|いくらに設定する?頭金に充当されるのか?
契約前に住宅ローンの確認(住宅ローン特約について)
買主の多くは、住宅ローンを利用してあなたのマンションを購入します。買主がこの住宅ローンの審査に通っているかどうかは必ず契約前に確認しておきましょう。
なぜなら、住宅ローンが通らなかった場合、買主は手付金の放棄なしで契約を白紙撤回できるからです。この権利を「住宅ローン特約」と言いますが、つまり無料キャンセルを許してしまうことになります。
銀行の住宅ローンには大体、契約前の事前審査があるので、不動産屋を通して買主の住宅ローン審査は厳しくチェックしておきましょう。
実際の契約は、買主の住宅ローン審査通過を確認してからにすることをおすすめします。
契約日当日の流れ
契約にあたり、不動産会社は重要事項説明書や売買契約書を作成したりします。一応、これらの契約書類はメールやファイルでもらっておき、売り主も事前に目を通しておきましょう。
契約当日のおおまかな段取りとしては、
- 売主・買主の挨拶
- 売買契約書や付帯設備の説明と確認
- 各書類の署名、捺印
- 手付金の授受
といった感じです。
基本的に売主は契約に立ち会い署名・捺印するだけで、契約に伴う仕事は不動産会社の担当者が行ってくれます。ただ、売買契約書の金額だけは売り主の目でしっかり確認しておきましょう。
契約時の持ち物
- 実印
- 印鑑証明書
- 身分証明書
- 不動産権利証
- 印紙代
詳しくは不動産会社から案内があるので要確認です。
STEP6:決済・引渡し
契約が終われば、契約から1~2か月後に決済・物件の引渡しを行います。
決済日(引渡し日)までにしておくこと
決済日までに売主が行うことは以下の2点です。
- 住宅ローン完済手続き
- 引っ越し
住宅ローンの残債があれば、完済手続きを金融機関と行います。金融機関によっては、平日の日中に金融機関の窓口でしか受け付けしていません。そのため特に会社員の方は、事前に手続き方法を確認しスケジュールの調整が必要になります。
また、引渡し日をもってマンションの所有権も買主に移ります。つまり、売主は引渡日からは、そのマンションの部外者になるということです。そのため、引き渡し日までに引っ越し手続きを終わらせ、完全に荷物を引き払う必要があります。
決済日当時の流れ
決済は、買主が住宅ローンを借りている金融機関にて行われます。
この時は売主、買主、不動産会社、司法書士、金融機関が一同に立会い、書類の確認や金額の振込確認を行います。
おおまかな段取りとしては以下の通り。
- 必要書類を司法書士が確認・記名押印
- 売買代残金の授受
- 売主が代金の口座着金を確認後、領収書の授受
- 売主から買主へ、物件の鍵や書類の引き渡し
- 司法書士・不動産会社への報酬支払い
振込の確認などもあるので、決済は概ね1時間〜2時間程度かかります。当日は余裕をもってスケジュールを空けておきましょう。
鍵の引き渡しが終わり、お世話になった不動産会社や司法書士に仲介手数料を支払えば、晴れてマンション売却の完了となります。
決済当日の持ち物
- 実印
- 印鑑証明書
- 身分証明書
- 不動産権利証
- 物件の鍵、引き渡す物件書類
- お金(不動産会社への仲介料、司法書士への報酬、振込代など)
詳しくは不動産会社から案内があるので要確認です。
最後に
このページでは、マンション売却活動の一歩目からゴールまでの道のりをおおまかに解説しました。
ただ、ここでは書ききれないほどマンション売却は奥が深いものです。ポイントごとの注意点やコツなんかは個別の記事をたくさん書いていますので、ぜひそちらも参考にしてみてください。