マンションを購入すると、毎月じわじわと負担が効いてくるのが「管理費」と「修繕積立金」という固定費です。これらは住宅ローン完済後もマンションを所有する限り支払いが続くうえ、修繕積立金に限っては後から値上げされることも多々あるから厄介です。
マンション購入時は、住宅ローンの数字ばかりに気を取られがちで、こうしたパッと見て重要度の低そうな管理費や修繕積立金を軽視しがちになります。でも、これらが5年後10年後にボディブローのように効いてくるんですよ。
なのでこの記事では、管理費と修繕積立金について分かりやすく解説します。
意外と多くの人が、どういうお金で誰になんのために払っているのか分かっていないのではないでしょうか?
管理費と修繕積立金の違いとは?
まず、管理費と修繕積立金の違いをサクッと解説すると次の通りになります。
管理費と修繕積立金の違い
- 【管理費】
→ マンション共有部分、廊下の電気代やエレベーターの点検、駐車場代、清掃費(清掃業務の外注費)など、”日々のメンテナンス”にかかる費用を住民全員で負担するもの。 - 【修繕積立金】
→ 10年〜15年に1度のサイクルで行われるマンションの大規模修繕工事(外壁、ベランダ、排水管や給水管のメンテナンスなど)の工事費用を、日頃から住民全員で積み立てておくもの。
管理費も修繕積立金も、どちらもマンションの管理組合に払うものですが、その性質は少し異なります。管理費は共有部分の清掃やメンテナンス費に日々使われるものですが、修繕積立金は「将来」の大規模主膳のためにプールされておくお金になります。
それぞれもう少し詳しく説明を加えておきます。
高めに設定されやすい管理費とは?
管理費は、マンション共有部の日々のメンテナンスや清掃に使われるお金です。廊下の電灯だったり、エレベーターの定期点検、エントランスや廊下の清掃など諸々に使われます。毎日マンションの掃除してくれてるおじさんとかいますよね。あのような人たちも管理費で雇っています。
また、マンション共有部分の火災保険料/地震保険料/損害保険料も管理費から支払われています。
管理費はマンションの管理組合に払いますが、実際の管理業務は「管理会社」に丸投げ(委託)しています。そして、この委託先の管理会社というのは、マンション販売会社の系列会社であることが多いです。
なので、マンションの売主である不動産会社は、管理費を高めに設定していて販売します。管理業務もグループ会社が請け負うので高いほど儲かるからです。
「最初」だけ安く設定されがちな修繕積立金とは?
修繕積立金は、将来の大規模修繕工事に必要になる工事費を、住民みんなで日頃から積み立ててプールしておこうというものです。
マンションの大規模修繕工事は、物件にもよりますが概ね10年〜15年くらいの周期で行われます。電気ガス水道などインフラ設備のメンテナンス・修復や、外壁などの修復などを修繕する大規模な工事になります。古くなった部分を修繕し、マンションの資産価値を守るための重要な工事です。
この工事にかかる費用を、その時に一斉に住民から集金するのは困難なので、日頃からコツコツ積み立ててプールしておくわけですね。
そんな修繕積立金というのは、大きく3つの積立方式があります。
- 均等積立方式:
→途中で値上げせずに毎月同じ金額を積み立てる一般的な積立方式。積立金額は、長期修繕計画に基づき、修繕費用を大規模修繕実施までの月数で割って算出する。 - 段階増額積立方式:
→数年ごとに修繕積立金が値上げされていくケース。多くのマンションはこの方式。 - 一時金徴収方式:
→普段から積み立てている修繕積立金とは別に、修繕工事の直前にまとまった金額を追加で徴収する方式。月々の積立金は安い代わりに、直前の徴収金が100万単位の負担になることも。
多くのマンションでは、後から値上げされる段階増額積立方式が多いです。一般的には5年おきくらいで積立金の見直しが入ることが多いですね。ヒドいと購入時の積立金から3倍くらいに跳ね上がるケースもあります。
値上げされる理由は2つあります。
- 最初は安くしておいた方が買主に購入してもらいやすい
- 将来的な修繕工事の費用を見誤る
まず第一に、修繕積立金はあとから値上げが可能なため、最初は”わざと”低く設定しておいた方がマンションが売れやすくなるためです。で、購入されてから値上げしていく。確信犯ですね。あまり良くない業界の構造だと思います。
もう一つは、将来的な工事費用の見通しを見誤ることです。実際、修繕工事がいくらかかるかなんて、その時にならないと分かりません。10年前に想定していた工事費より全然高くなってしまい、修繕積立金がこのままだと全然足りない……という事態がいまもそこら中のマンションで起こっています。
とくに今は、建築業界が深刻な人手不足で人件費が高騰しており、修繕工事にかかるお金が増大しています。タワーマンションのような修繕にとくに金のかかる物件は深刻な問題になっています。
で、修繕費が足りないとわかると組合は、毎月の修繕積立金を段階的に2倍3倍と値上げしたり、追加費用を要請してきたりします。
当然、住民からの反発も必死なのでそう簡単に集まらないですし、高齢者なんかは積立金が払えなくなって滞納する人も増えたりと、逆効果になって余計に修繕費が集まらない……という負のスパイラルに陥りがちです。
このように、何かと問題がおきがちなのが修繕積立金というものです。修繕積立金の値上げを機にマンション売却を決意するケースも多く、ある意味では「売り時」を見定めるものでもありますね。
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マンション売却したら管理費や修繕積立金は返金される?
残念ながら、管理費や修繕積立金は(今まで積み立ててきた金額が)返金されて戻ってくることはありません。
(物件を売却したら、その月の残日分の金額であれば日割り計算で戻ってきます)
修繕積立金に関しては「積み立て」という言葉から、売却したら積立してきた分が戻ってくると勘違いしている人も結構いるのですが、積立貯蓄しているのは管理組合であって、住民は普通に組合に「支払って」いるお金です。
管理費や修繕積立金については管理規約に記載がありますが、そこにも「管理や積立金は返還しない」という旨が書いてあると思います。
管理費ならまだしも、修繕積立金は大規模修繕工事を経験しなかった人にとっては「払い損」で終わるので悔しい気持ちは分かりますが…‥仕方ありません。
まとめ
管理費や修繕積立金は、住宅ローン完済後も支払い続ける固定費であり、かつ修繕積立金は倍以上に増額されることが普通にあるので、年数が経つほど負担が重くなってくるものです。
増額されるのが10年後として、マンションの所有も10年が目処と言われているので、積立金の負担増が「売り時」と言われるのも頷けますね。
【追伸】自宅マンションがいくらで売れそうか把握していますか?
マンションの売却を検討しているのであれば、まず最初にすることが「査定に出す」ことです。自分のマンションがおおよそどの程度の価格が付くのか分からないと、住宅ローンや住み替えなど計画が立てられません。
査定は無料でできるので損することはないですが、一応マンションを査定してもらうときのポイントが2つあります。
まず複数の会社に査定依頼して「比較」をすること。
大手と中小のどちらにも査定してもらうこと。
まず、査定依頼は必ず複数社に出すこと。不動産会社によって付ける価格はバラバラなので、それを並べて比較することで相場感が見えてきます。最低でも4社以上には査定してもらいましょう。
そして、査定は大手だけでなく中小にも依頼すること。大手は抱えるデータ数も多いですがマニュアル化されているので機械的に数字を出しがちです。対して地元密着の中小は”狭く深く”であり、地元におけるより細部の内情まで熟知しているので大手には見えない面まで査定に反映してくれます。
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マンションの目安価格が分からないと売却するもしないも判断できないので、まずはサクッと査定してもらうことから始めましょう。
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