マンション市場考察

修繕積立金が高すぎる!相次ぐ値上げでマンション売却を検討する人も続出

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分譲マンションを所有している人にとって、年々ボディーブローのように負担を感じる「修繕積立金」という存在。これは、将来発生するマンション(の共有部分)の修繕工事費用を日頃から積み立てておく……というものです。

修繕積立金の額はマンションの規模にもよりますが、一般平均クラスのマンションだと大規模修繕工事は10年〜15年ごとに1回行われ、1戸あたり大体100万円程度の負担になるイメージです。10階建ての2LDK〜3LDKだと10,000〜15,000円/月くらいが平均でしょうか。

(70㎡で月12,000円前後くらいのようですね)

修繕積立金が一番厄介なのは、後からどんどん値上げされたり追加費用を要求されたりするケースが多いことです。

とくに大規模修繕が近づいてくると、どんどん積立金の負担が重くなっていきます。ヒドいと当初の2倍〜3倍に上がるケースもあり、追加徴収で100万単位の修繕金を徴収されることもあります。

そうした事態を受け、2019年10月には消費税増税でちょうどいい時期に駆け込み需要が見込めるし、2020年には五輪を控えているしということで、大規模修繕が始まる前にココらでマンションを売却してしまおう!という人たちも続出しちゃってるわけですね。

この理不尽とも思える修繕積立金の値上げ、なぜなんでしょうか? ということを下記にまとめていきます。

 

今のうちにマンション売却しておくなら!

2020年には東京オリンピックというビッグイベントが控えており、マンションを高値で売るなら今が良いタイミングと言えます。

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なぜ? マンションの修繕積立金がどんどん高く上がる理由

まず、修繕積立金というのは大きく3つの積立方式があります。

  1. 均等積立方式:
    →途中で値上げせずに毎月同じ金額を積み立てる一般的な積立方式。積立金額は、長期修繕計画に基づき、修繕費用を大規模修繕実施までの月数で割って算出する。
  2. 段階増額積立方式:
    →数年ごとに修繕積立金が値上げされていくケース。多くのマンションはこの方式。
  3. 一時金徴収方式:
    →普段から積み立てている修繕積立金とは別に、修繕工事の直前にまとまった金額を追加で徴収する方式。月々の積立金は安い代わりに、直前の徴収金が100万単位の負担になることも。

多くのマンションでは、積立金が段階的に値上げされる「段階増額積立方式」が採用されています。

「購入した当初は月々7000円だったのに……今じゃ毎月15000円に……」

なんて人も少なくないでしょう。

ではなぜ段階的に値上げする方式をとっているのか? というと理由はちゃんとあります。

理由1.  最初の積立金額を低く設定して購入を促す

まず第一にコレです。新築で購入した当初に設定されていた修繕積立金が、本来必要な額より安く設定されているからです。多くのマンションが、販売時は修繕積立費を安く見積もっています。

なぜ安くされているかというと、安く見せることで「購入してもらいやすくするため」です。

購入者にとってマンションは人生最大の買い物。月々にかかる管理費や修繕積立金まで含め「トータルコスト」をシビアに検討します。なので、最初から修繕積立金を高くしすぎると購入率が下がるわけです。

なので、新築時は修繕積立金を安くして「見栄え」を良くする。そして物件が購入されてから、不足分の修繕積立金は将来的に値上げで調整すればいい……こういうことです。

だいたい、修繕積立金の値上げは段階的に行われます。一気に上げたら反発を受けて部屋を売却される恐れもあります。なので、数年後に3割増し、また数年後に5割増し……という風にイヤらしくあげてきます。

もちろん、購入時に「修繕積立金は、将来的に値上がりすることもあります」と一応の説明もあるでしょう。ただ、購入側としては人生最大の買い物を前にして気持ちも高ぶっているので、「将来的に〜かもしれません」なんて未来の曖昧なことを言われても判断力が鈍るのが普通です。不動産屋もその辺の心理はわかってるんですよね。

この「買わせるために最初だけ安くして、後から値上げする」という手法は、不動産業界の良くないところの一つだと思います。完全に、お客さん側ではなく販売側の利益に向いたやり方なので。

理由2.  建築業界の人手不足による人件費の高騰

世は空前の人手不足時代です。その中でも建設・土木業界は3K(きつい・危険・きたない)のイメージが強いためか、とくに深刻な人手不足に陥っています。

そのため建設現場の人件費がどんどん高騰しており、大規模修繕にかかる費用も高騰しているわけですね。なので、10数年前(新築当初)に想定していた修繕積立金では全然足りなくなってきたのです。

こればっかりは時代の動きなので致し方ありません。

タワーマンションの場合は長期修繕計画の見積もりが難しいという点も

タワーマンションに関しては、未だ大規模修繕の前例がほとんどない(2017年のエルザタワー55の大規模修繕が初)ため、大規模修繕の長期計画を建てるのが非常に難しいという事情があります。

そのため、10〜15年後の修繕工事の総工費を正確に見積もるのは難しく、いざ修繕工事の間近になって積立金が足りないということが分かってくるわけです。そこで初めて、値上げするか追加徴収金で対処するかになります。

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今後、マンションの空室が増えるほど修繕積立金の負担も増える

廃墟 空き家

マンションの修繕積立金は、マンション内の空室が増えるほど一人当たり(一戸あたり)の負担額が増えます。住人の数が減ろうが共有設備の修繕にかかるコストは変わらないので、「今いる住民」で費用を負担しなければいけません。

言わずもがな、日本は今後の人口減少はどうやっても抗えない確定事項であり、空き家率は現在進行形で増加中です。約10年後の2030年には全国の空き家率が30%に達するという予測も出ている深刻レベル。

都心の人気エリアのマンションであればまだ需要は当分持ちそうですが、地方郊外のマンションの今後はかなり危ういです。

2020年東京オリンピックを前にした現状でマンションは「作られすぎ」であり、完成在庫(マンションが完成したのに売れていない戸数)が積み上がっている状況なので油断はできません。

今後、オリンピックや2022年問題の前にマンションを売却する人が加速すると、それだけ空室が増えて残った住民の修繕積立金の負担は一層増えていきます。

正直なところ、今後、修繕積立金の負担が増えることはほぼ確定事項。少なくとも今より負担が減ることはないでしょう。

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タワーマンションは今から大規模修繕工事が続々始まる

とくに、これから修繕積立金の負担がキツくなってきそうなのがタワーマンション。この10年くらいで大規模修繕工事に入るマンションが多いからです。

タワーマンションの大規模修繕は、およそ12年〜15年程度で行われます。タワーマンションは2000年代に入ってから急速に乱立しはじめ2008年あたりが建設ピークだったので、周期的に2020年〜2025年くらいに続々と大規模修繕のターンに入るのです。

そして前述のように、タワーマンションの大規模修繕は前例が少なすぎるため、大規模修繕にかかる総費用が読めない難点があります。

建築業界の人件費高騰でただでさえ工事費用が高騰している上に、タワーマンションの外壁修繕は足場が組めずにゴンドラ作業になるので効率も悪く、天候によっても中断せざるを得ないので日数もかかりと、とにかく人も時間もカネもかかるというツラさで、タワマンの大規模修繕事情は地獄の様相を呈しています。

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タワマン大規模修繕の唯一にして貴重な例としては、2015年〜2017年に大規模修繕を行ったエルザタワー55があります。

エルザタワー55

https://www.rehouse.co.jp/mansion/bkdetail/FN3W2A29/

タワーマンションの先駆けであるエルザタワー55は、投資目的の所有者が少なかったために管理組合がしっかり機能し、総工費12億円を全てプールしていた積立金でまかなえたという好例でした。

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しかし現在のタワーマンションは投資用として購入している投資家所有者が増えており、中国人をはじめとする外国人所有者も多いです。彼らは修繕工事に対しても関心が薄いため管理組合に協力的とは言えず、修繕に向けた話が進みにくいという障壁も、タワマンの大規模修繕を苦しめている一因と言えます。

 

 

さらなる悪材料としては、2020年の東京オリンピックの存在によってマンション市場のバブルが崩れる気配もあり、投資用に高級タワマンを爆買いしていた外国人投資家たちが五輪前の今すでに投げ売りを始めています

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五輪後の相場下落を懸念して投資家たちが売却を始めると、ただでさえ足りない修繕積立金がさらに集まらなくなり、残った住民たちにさらなる値上げを要求しないといけない負のスパイラルに陥ります。

大規模修繕を目前にして修繕積立金の急激な値上げや追加要求に苦しんでいるタワマン住民は今後も増えそうです。

下記記事でも書きましたが、タワーマンションは購入してから後悔する人も結構多いみたいですね。

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修繕積立金の負担増でマンション売却を決める人も

マンションの売却タイミングとして「今」を検討している人って多いんですよね。

というのも現在は、

  • 現在マンション相場が過去稀にみるほど高騰している(バブル状態)
  • 2020年に東京オリンピックを控えている(←バブル終了の引き金になる懸念)
  • 五輪後は選手村マンション(晴海フラッグ)が一斉に供給されるので供給過多になる
  • 日本の急激な人口低下・少子高齢化により空き家率が深刻になっていく

といった「いま売っておきたい材料」が奇跡的なほど揃っているからです。

ここに加えて修繕積立金の値上げという新材料が加わったことで、マンションの売却を検討している人にとってはこれ以上ないベストタイミングだと言えます。

大規模修繕前に売り抜けるなら「イエウール」など無料で査定できるサイトを使って売却価格をチェックしておきましょう。

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こんな感じで簡単に査定依頼ができます(無料です)。

現在の自宅マンションの価値がどうなっているか把握しておけば、今後取るべき行動も判断しやすくなると思います。

 

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マンション売却したら管理費や修繕積立金は返金される?

たまに質問されるのですが、マンションを売却したとしても、それまで積み立ててきた管理費や修繕積立金が返金されて戻ってくることはありません。(売却月の引き渡し日〜月末までの分であれば日割りで買主側に払って貰えます)

修繕積立金に関しては「積み立て」という言葉から、売却したら積立してきた分が戻ってくると勘違いしている人も結構いるのですが、積立貯蓄しているのは管理組合であって、住民は普通に組合に「支払って」いるお金です。

管理費や修繕積立金については管理規約に記載がありますが、そこにも「管理や積立金は返還しない」という旨が書いてあると思います。

管理費ならまだしも、修繕積立金は大規模修繕工事を経験しなかった人にとっては「払い損」で終わるので悔しい気持ちは分かりますが…‥仕方ありません。

関連管理費と修繕積立金の違いとは|売却後に返金で戻ってくるのか?

 

【追伸】自宅マンションがいくらで売れそうか把握していますか?

マンションの売却を検討しているのであれば、まず最初にすることが「査定に出す」ことです。自分のマンションがおおよそどの程度の価格が付くのか分からないと、住宅ローンや住み替えなど計画が立てられません。

査定は無料でできるので損することはないですが、一応マンションを査定してもらうときのポイントが2つあります。

まず複数の会社に査定依頼して「比較」をすること。

大手と中小のどちらにも査定してもらうこと。

まず、査定依頼は必ず複数社に出すこと。不動産会社によって付ける価格はバラバラなので、それを並べて比較することで相場感が見えてきます。最低でも4社以上には査定してもらいましょう。

そして、査定は大手だけでなく中小にも依頼すること。大手は抱えるデータ数も多いですがマニュアル化されているので機械的に数字を出しがちです。対して地元密着の中小は”狭く深く”であり、地元におけるより細部の内情まで熟知しているので大手には見えない面まで査定に反映してくれます。

近年は、大手も中小も含めて複数社に一括で査定依頼できる「一括査定サービス」があるので、わざわざ複数社にコンタクトする必要はありません。

例えば一括査定サービスの大手「イエウールでは、最大6社への査定依頼がわずか60秒で終わります。

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マンションバブルの崩壊が不安な人は、現在の自宅マンションの価値がどうなっているか把握しておけば、今後取るべき行動も判断しやすくなると思います。

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