マンションの売買契約は、商品の価格が高額ということもあり時間がかかります。また、契約という法的な行為なので、正式な手順があり事前に理解しておく必要があることも少なくありません。
そこで今回は、契約当日の手順や流れを解説するので、契約当日のイメージをして契約に臨みましょう。
契約前の準備・決めること
契約当日の話をする前に、まずは契約前に売主・買主間で決めておくことがあります。この項目によって契約当日の手順に関係してくるからです。
具体的には、契約前に以下4点を決めます。
- 住宅ローンの確認(ローン特約)
- 引渡し日
- 手付金額を含め資金内容
- 室内の設備について
上記については、不動産会社の担当者が主導しますが、最終的には売主に決定権があります。
契約前に住宅ローンの確認(住宅ローン特約について)
買主の多くは、住宅ローンを利用してあなたのマンションを購入します。買主がこの住宅ローンの審査に通っているかどうかは必ず契約前に確認しておきましょう。
なぜなら、住宅ローンが通らなかった場合、買主は手付金の放棄なしで契約を白紙撤回できるからです。この権利を「住宅ローン特約」と言いますが、つまり買い手側に無料キャンセルを許してしまうことになります。
銀行の住宅ローンには大体、契約前の事前審査があるので、不動産屋を通して買主の住宅ローン審査は厳しくチェックしておきましょう。相手の審査が通るまでは安心できません。
実際の契約は、買主の住宅ローン審査通過を確認してからにすることをおすすめします。
引渡し日
引渡し日とは、物件を買主へ明け渡す日のことです。引渡しの日までに売主は部屋から引っ越し、空っぽの状態にする必要があります。
また、引渡し日の時点で売主から買主へ正式に所有権が移転するので、引渡し日を境に売主はマンションの部外者となります。
手付金額を含め資金内容
また、売買契約の前には、当然ですが資金内容を決めておきます。
資金内容は、売買代金だけでなく以下の点も決めます。
- 手付金額
- 頭金額
- ローン借入額
- 残代金
手付金とは、売買代金の一部を予め売り主から預かっておくことです。売り主は契約後にキャンセルすると手付金を放棄しなければならないルールなので、実質的な違約金にあたります。
この手付金は、売却金額の20%以下であればいくらに設定してもOKです。手付金額が高ければ高いほどキャンセルリスクを軽減できるので、売主としてはできるだけ高く設定したいです。
金額については、不動産会社の担当者と相談して決める流れになります。
またローンの借入額も明記します。
仮に、2,000万円の借入金額の融資を受ける前提で売買契約を結ぶ場合には、その借入額から変更になれば原則変更契約を結びます。
室内の設備(付帯設備表)について
中古マンションの売買は、基本的に「現況有姿」となります。現況有姿とは、補修などはしないでそのままの状態で物件を引き渡すということです。
しかし、室内の設備などが壊れている場合には、その旨を買主に伝える義務があります。
また、エアコンや照明などの付属品があれば、その付属品を買主に引渡すかどうかは明確に決めなくてはいけません。
そこで「付帯設備表」という書類を作成し、売主・買主で確認し合います。
付帯設備表の箇所とは?
付帯設備表とは、室内の設備を売主・買主で確認する書類のことです。具体的には、以下のような箇所をチェックします。
- 玄関扉
- 各居室の窓
- キッチン付帯設備
- 浴室、洗面所付帯設備
- トイレ付帯設備
- 照明機器
- 収納関係
- その他設備
このように、室内の設備に関する箇所は全て付帯設備表でチェックします。
キッチンはガスコンロや換気扇、浴室は浴槽や鏡や給湯器などが該当します。その他とは、カーテンやカーテンレールなどです。
付帯設備で確認する項目
前項の箇所について、以下のような確認をします。
- きちんと開閉できるか?
- 照明や設備などは作動するか?
- 設備を撤去するかどうか?
扉や窓はガラスの傷や汚れ、また開閉に支障がないかという動作確認も含みます。また、エアコンやカーテン、照明などはそのまま撤去するか、設置した状態で引き渡すかを明記します。
仮に設置したままの状態で引渡すとしても、商品の保証に関して売主は一切責任を負いません。
契約当日の流れ・手順
契約にあたり、不動産会社は重要事項説明書や売買契約書を作成したりします。一応、これらの契約書類はメールやファイルでもらっておき、売り主も事前に目を通しておきましょう。
契約当日のおおまかな流れは以下の通りです。
- 顔合わせ(売主・買主の挨拶)
- 手付金の授受
- 重要事項説明書・売買契約書や付帯設備の説明
- 各書類の署名、捺印
個々のケースで順番は前後しますが、概ね上記の項目をこなします。
上記は基本的に不動産会社の営業担当が行うので、売主が何か用意したり準備したりする必要はありません。
買主にもよりますが、契約の所要時間は概ね2~3時間程度です。買主からの質問が多い場合は、もっと時間がかかります。
流れごとに詳しく見ていきます。
契約当日の持ち物
契約時の持ち物
- 実印
- 印鑑証明書
- 身分証明書
- 不動産権利証
- 印紙代
詳しくは不動産会社から案内があるので要確認です。
STEP1:顔合わせ
一般的に契約の場には、売主、売主仲介業者、買主、買主仲介業者が立ち会います。
とくに売主と買主はこの場が初めてのきちんとした対面になるので、まずは顔合わせの挨拶など軽いコミュニケーションを取って緊張をほぐします。
STEP2:手付金の振り込み確認
続いて、契約手続きに入る前に手付金が正確に振り込まれたかを確認をします。
手付金は振り込みではなく現金や小切手でも良いのですが、防犯の観点から振り込みの場合が多いです。手付金の確認ができないと、契約手続きすることができません。
STEP3:重要事項説明書、売買契約書の説明
手付金の振り込み確認をしたら、宅地建物取引士が物件の重要事項が記載された重要事項説明書(重説)と売買契約書(売契)の説明をします。
重説と売契は両方とも不動産会社の方で用意するので、売主は特に何もしません。
後述しますが、この分厚い重要事項説明書の読み上げ・確認が最も時間がかかります。
STEP4:各書類への署名、押印
重説と売契の説明が終われば、以下のような書類に署名、捺印をします。
- 売買契約書
- 重要事項説明書の受領書
- 付帯設備表の確認書
- そのほかの書類
先ほど解説した付帯設備表は、売買契約締結時に署名・捺印します。
また、そのほかの書類とは、管理に関する書類など物件によって異なります。
売主が契約の場に出席できない場合
売買契約は休日に行うことが多いですが、平日に行うこともあります。その場合、売主が会社員であれば出席が難しい場合があるので、そのようなときは以下の方法で契約します。
- 委任状対応
- 持ち回り契約
委任状対応
委任状とは、売買契約や引渡しの業務で、第三者が売主の代理をすることを示した書類です。ただし、非常に重要なことなので基本的には親族が行います。
たとえば、「以下の物件の売買契約に関する一切を委任する」という旨の委任状を作成し、そこに実印で売主が署名・捺印をします。
そして、印鑑証明を添付することで、売主が売買契約を委任したと見なされるのです。委任状を利用する場合は、印鑑証明などの準備があるので事前に不動産会社からひな形をもらっておきましょう。
持ち回り契約
また、契約方法の一種として持ち回り契約という方法があります。持ち回り契約とは、不動産会社の担当者が、売主・買主のところへ行き契約するということです。つまり、本来一か所に集まって契約するところを、勤務先の近くなどに担当者が来てくれるということになります。
持ち回り契約が可能であれば、仕事中に20~30分程度時間をつくれば、契約することが可能です。買主は重説などで時間がかかりますが、売主は書類へ署名・捺印するだけなので、時間はほとんどかからないからです。
契約時間を短縮させる方法
契約時間で最も時間がかかるのが重要事項説明書(重説)です。
重重要事項説明書には、物件の所在・登記内容、所有者情報、建物管理形態(管理会社、管理費、修繕積立金、修繕履歴など)などが記載されており、物件にもよりますが20ページを超える場合も多いです。
ただ説明するだけでも1時間程度かかります。そこに質問などがあれば、もっと時間がかかるので、どうしても売買契約に時間がかかってきてしまうのです。
そのため、契約時間を短縮させる方法としては、買主に重説を事前に読んできてもらうことです。事前に読んできてもらえば、不明な箇所も事前に分かるので当日もスムーズになります。
そのためには、不動産会社に事前に重説を作成したもらう必要があるので、契約時間を早めたい理由と一緒に不動産会社の担当者に伝えましょう。
まとめ
契約当日の手順や流れは上述した通りです。申込前に決めたことの確認作業くらいですので、基本的に売主が行うことが少ないです。
ただし、委任状を利用する場合やも利回り契約を依頼する場合には、不動産会社と事前に相談しておきましょう。
契約を終えたら、次は最後の決済日(引渡し)になります。そちらの手順や流れについては下記記事に進んでください。
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中古マンション売却の引渡し日(決済日)の準備と流れ|手続き手順、必要なもの
マンションの売買契約を結べば、いよいよマンションの引き渡し・決済に移ります。この引き渡し・決済が終われば、はれてマンショ ...
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まず複数の会社に査定依頼して「比較」をすること。
大手と中小のどちらにも査定してもらうこと。
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