マンションの売却では、確かに買い手候補の内覧がそれなりに入っているはずなのに、なぜか購入申込が一向にないというケースも多々あります。
内覧は入るのになぜ売れない……!?
内覧まで来ているということは、集客はできています。つまり、部屋の間取りや設備、立地条件などスペック部分は買い手の要望をある程度クリアしているということです。
その上で申込が入らない時というのは、大きく3つの原因が考えられます。
- 室内の状態が想像していたより悪い
- 同グレードの物件(あるいは同マンションの別室)と価格を比較されている
- 広告でアピールしているポイントとずれている
なかなか売れないからといって、思考停止ですぐ値下げするのはやや単細胞です。内見に来ている時点で「興味は持ってもらえている」わけなので、ちょっとした改善で申し込みを獲得できるかもしれません。
ということで今回は、「内見は入るのに購入に至らない」ときのチェックポイントを詳しく書いていきます。
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まずは内覧に立ち会った営業担当者に話を聞くこと
申し込みが入らない原因を探るには、何はともあれまずは不動産会社の営業担当者(内見に立ち会った人)に話を聞くのが先決です。
直接買い手のお客と関わっているわけですから、内覧時の反応などを一番知っているはず。内覧者の細かい反応や印象などはその場にいた人間しか分かりません。
また、担当者には事前に「購入キャンセルが入ったら、原因まで聞いておいてください」と伝えておきます。そうすれば、ダメだった原因を正確にキャッチすることができます。
中でも、よくある代表的な原因と、その対策を以下に挙げておきます。
原因1:室内の状態が想定より悪いケース
上で挙げた「広告とのギャップ」にも共通しますが、思っていたより室内の状態が悪い(汚い)というケース。
購入者にとって、ぱっと見た目の印象はとてつもなく重要です。ぱっと見で汚いだけで、購入者の脳に「理想の新生活」をイメージさせることが非常に困難になります。
こうした場合は、徹底的に「おもてなし」の準備をする他ありません。具体的には以下のような対策をします。
- 徹底的にクリーニングする
- 簡単な補修作業をする
- 出迎え準備をきちんとする
対策1:徹底的にクリーニングする
単純に部屋が「汚い」と思われている可能性があるため、部屋全体をクリーニングしましょう。特に、水まわりは徹底的にクリーニングするべきです。たとえば、以下のようなクリーニングをしているかチェックしてみましょう。
- キッチンは換気扇までクリーニング
- トイレは壁やタンクまでクリーニング
- 浴室は鏡やエプロンまでクリーニング
水まわりは衛生面や臭いが気になる箇所ですので、ほかの部屋より念入りに行いましょう。どうしても汚れや臭いが取れない場合はクリーニング業者に依頼することをおすすめします。
キッチンは換気扇までクリーニングする
キッチンは必ず換気扇までクリーニングしましょう。換気扇は汚れやすいので、フィルターなどをチェックしている人は多いです。
また、油汚れなどが付きやすいので、換気扇をしっかりクリーニングしないと臭いがすることもあります。
トイレは壁やタンクまでクリーニングする
トイレは便座や便器だけでなく、タンクや壁までしっかりとクリーニングしましょう。トイレは水まわりの中で、最も衛生面を気にする箇所なので、念入りに掃除することが重要です。
浴室は鏡やエプロンまでクリーニングする
浴室は鏡についた水垢もしっかりクリーニングしましょう。また、浴槽の側面のエプロン部分は外れますので、その部分もクリーニングした方が良いです。なぜなら、内部は汚れやすいため、異臭の原因になりやすいからです。
当然ですが、水まわり以外も含めて、内覧見学が来るたびにクリーニングすることが重要です。多少手間ではありますが、内覧者の印象は大きく変わってきます。
参考記事マンション売却の内覧時に入念に掃除すべき場所【空室/居住中のケース別】
対策2:簡単な補修作業をする
また、フローリングやクロスに傷がある場合は、市販の補修グッズで補修作業をしましょう。特に、ペットを飼っている場合や小さいお子さんがいる場合は、細かな傷が多くなります。
普段生活していると気になりませんが、購入検討者はどうしても気になるポイントです。そのため、出来る限りの範囲で良いので、傷が目立たない程度に補修しましょう。
対策3:出迎え準備をきちんとする
内覧者が来るときには、どのような出迎え準備をしているでしょうか。出迎え時のポイントは以下の通りです。
- スリッパなどの準備をしておく
- 背の高いものは玄関に置かない
- 全ての電気をつけておく
- 床に物は置かない
まずは、スリッパなどを準備してウェルカムな雰囲気をつくりましょう。これだけで、内覧者の印象は大分変ります。また、背の高いモノを玄関に置くと狭く見えるので、コート掛けなどがあれば奥に引っ込めておきましょう。
さらに、廊下なども含めて電気をつけておき、少しでも明るく見せることも重要です。そして、特にリビング・ダイニングなどは広さをアピールしたいので、なるべく床に物を置かないようにしましょう。床の露出面が多い方が、部屋は広く見えます。
【1つ工夫ポイント】内覧者に生活イメージを膨らませてあげよう。
対策とはやや違いますが、購入希望者の背中を押す工夫ポイントを一つ。
買い手の購入意欲を掻き立てるには、なるべく物件に住んだ時の光景をイメージさせることが重要です。
例えば、電気代がもったいないからと言って内覧時に電気を点けることを拒否する売主がいますが、これはNG。見学が入る時間は日中だけとは限りません。暗い時間帯に見学をした時に、照明器具が付いていない部屋は本当に真っ暗で何もわからないので、照明器具は全室に付けておいた方が良いです。
他にも、より具体的な生活感をイメージさせるためにソファーやセンターテーブル、テレビを置いてみるのも良いかもしれません。室内が閑散としているよりも、ちょっとした備品を置くだけで部屋の印象は格段に良くなります。
もし可能であれば、それらの備品をプレゼントしてあげることによって、更に決まりやすくなるでしょう。
このように、なるべく買い手の想像力を掻き立てるような工夫をすることで、購入の背中を押すことができるかもしれません。
定期的に物件に訪れて部屋状況をチェックすること
一度しっかりハウスクリーニングをして部屋を完璧にしたからといって安心してはいけません。クリーニング直後は綺麗でも、何回も内覧見学が入っているうちに少しずつ汚くなるものです。
例えば部屋の隅にゴミやホコリが落ちていたり、キッチン周りに手垢が付いて目立っていたり、最悪のケースだとどこからか入った虫の死骸が落ちていた……なんてことも結構あります。
購入が決まるまでは定期的に部屋を訪れて、上記の対策に抜かりがないかチェックが必要です。
【補足】リフォームする必要はあるのか?
マンションを売却するにあたって、クリーニングでは補えないほど部屋が汚い場合はクロス張り替えや畳交換など、リフォームをどうするかが焦点になるでしょう。
ただ、大規模なフルリフォームに近いことになると、リフォーム代を売却費でペイできないリスクが高いので満場一致でおすすめはできません。
リフォームするメリットデメリットなどは下記記事を参考にしてください。
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原因2:販売価格の乖離|同条件の物件と価格を比較されている
続いてよくあるケースが、内見者に同グレードの物件と価格を比較されている可能性です。とくに戸数の多い大型マンションだと、同じマンション内で売りに出ている別室と比較されているケースがあります。
この場合、シンプルに価格競争にもなってきます。
このときすべきことは、まず売り出ているライバル物件をチェックし、現在の自分の物件の適正価格をもう一度見直すことです。そして、いま売却を依頼している不動産屋以外に、もう何社か査定に出してみてください。第三者の視点から査定価格を出してもらった方が客観的な相場価格を把握しやすいからです。
第三、第四の不動産屋から査定価格を出してもらい、もし現状の売り出し価格と乖離があるようであれば、市場相場とズレている可能性が大。売り出し価格を調整すべき…‥というわけですね。
査定に出すだけなら自由です。無料ですし、契約による縛りもありません(※ただし査定のあとに仲介契約まで結んでしまうのは、専任媒介契約/専属専任媒介契約を結んでいる場合はNGです)
複数社への査定依頼は、ネットの一括査定サイトを使います。大手から中小までバランスよく複数社に一括で査定を出してくれるし、ネットから数分で依頼できるのでめちゃくちゃラクです。もちろん無料です。
公式HPイエウール
例えば、不動産査定サイトの大手「イエウール」だと、最大6社への査定依頼がわずか60秒で終わるので、まずは簡単にマンション価格を査定して欲しいときに便利です。
こんな感じで簡単に査定依頼ができます(無料です)。
もちろん全国対応しているので、地方の人でも大丈夫です。
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原因3:物件の広告に原因があるケース
広告と実物が違いすぎるパターン
今の時代、物件を探す人の約半数が「まずインターネットで検索する」ようになりました。
ネットの掲載情報には、マンションの外観写真から室内写真まで幅広く掲載をする事が出来ます。サイトや物件によっては360度のパノラマ写真も観れるくらいので、それらの写真と間取り図だけで部屋の大体の感じが分かってしまうほどです。
しかし実は、この”(実物より)綺麗すぎる物件写真”が購入申込に至らない原因になる場合があります。
写真詐欺はほどほどに
写真というのはフラッシュや日照の状況、室内の明かりを上手く使うなど、多少の技術によって汚い部屋でも綺麗に撮ることができますし、狭い部屋でも「広く見えるように」撮ることができます。
プリクラや加工アプリほどではないにしろ、物件写真(とくに室内写真)はほとんどが”盛られている”と考えていいでしょう。
買い手はこうした物件資料を見て120%の綺麗なイメージを持って実物を訪れますから、いざ内覧見学にきた時には写真と実物の違いに非常に敏感になっています。しかも期待度100の状態できていますから、基本的には減点方式で物件を採点します。
「あれ、なんか違う……」「思ってたより意外と○○……」みたいなネガティブな箇所が次々見つかって減点されていくと、やっぱりいいやとなるわけですね。
確かに物件写真を150%綺麗に撮れば、それに釣られて内覧申込は入るでしょう。しかし買い手の期待値をあげてしまうほど、実物とのギャップ差がそのままマイナス印象になってしまうのも事実。つまり内覧はあるのに申込がないということは、「ネットで見た印象と違った」というケースが本当に多いです。
広告素材となる写真は、必ず売り主本人もチェックすること
不動産会社がネットに掲載している物件写真が実物と違いすぎないか、自分でも必ずチェックしておいた方がいいです。本当の部屋事情を一番知っているのは売り主なので。
写真を見れば、売り主なら「ここは実物見たらガッカリするだろうな」というポイントはわかると思います。集客のために多少”盛る”のは仕方ないですが、実物を見たときに想像とのギャップが大きいほど購入者の検討度合いは低下します。
ギャップが大きすぎるなと思ったら、遠慮なく不動産会社に申し出ましょう。
アピールポイントがずれているパターン
次に、広告でアピールしているポイントとずれているときの対策です。その際は以下が対策になります。
- 内見者の求めているものをチェックする
- 本当のアピールポイントチェックする
このケースは、内覧者の検討取りやめ理由が、「希望と合わない」のようなときの対策になります。希望と合わないということは、厳密いうと「広告を見て期待していたけど期待外れだった」ということです。
内覧者の求めているものをチェックする
まずは、内覧者が何を求めていたかをチェックします。
マンションを探している人は、何かしらの希望をもってマンションを探しています。たとえば、「○○のエリアで物件が欲しい」や「駅から○○分以内が良い」、または「○○㎡以上が欲しい」「陽当たりが良い部屋が良い」など、色々な希望があります。
その中で、良くある広告とのギャップは以下のようなパターンです。
- 写真と実物が違いすぎる
- 陽当たりが思ったより悪い
- 駅から近いがアプローチが悪い
写真と実物が違う点は先述しましたが、他にも「陽当たり」にも想像と実際で大きなギャップが生まれることが多いです。陽当たりの悪さは購入率をグンと下げてしまいます。
また、駅から近いことを売りにしているのであれば、駅から快適に歩いて帰れることを希望している人は集客できます。しかし、実際には歩きにくい道だったり、人通りの少ない危険な道のアプローチだったりすれば検討度合いは下がるでしょう。とくに女性は帰宅路の環境も大事にします。
つまり、このケースは集客する「客層」を間違えているということです。これではいくら内覧者が現われても検討までしてくれません。
広告で何をアピールしているかをチェックする
このような状況のときには、実際にアピールすべきポイントを変えることです。言い換えると、広告を見て魅力的と思ってもらうポイントをしっかり精査し、その点を広告でアピールするということです。そうすれば、多少集客は減るかもしれませんが、検討してくれる客層を集客しやすいです。
たとえば、前項の例で「駅に近い」を押し出したものの、「歩きにくい道」というネックで検討していない人がいたとします。このとき、恐らく広告には大きな文字で「駅徒歩3分」のように、駅距離をアピールしているでしょう。
しかし、そうではなくその物件の間取りが良いのであれば、図面に家具配置を記載して、住みやすい間取りをアピールすれば、間取り重視の人が集客できます。その客層は間取り目当てで見学するので、実物との違いなければ検討度合いは高まるでしょう。
このように、広告との訴求ポイントを整理し、広告のアピールポイントを変えることは非常に重要です。営業マンは分かりやすいポイントをアピールしたがるので、一歩立ち止まって本当の訴求ポイントを探りましょう。
【番外】マンションの住人や管理人の方が原因の場合もある。
マンションを見学する人は、何も部屋だけを見ているわけではありません。
- マンションの住人はどんな層か?
- マンションの管理人はしっかりしていそうか?
などなど、「人」もしっかり見ています。
とくにマンション住人の質は重要な要素です。大学生など賑やかな人が多いのか? 小さい子供を持ったファミリー層が多いのか? はたまた、都内の立地によっては水商売やちょっと怖い系の人たちが多いエリアもあるので、そうした点も買い手はチェックしています。
例えば内覧見学に来た時に、ガラの悪そうなマンション住人とすれ違ってたり、マンションの前にいかにもヤ◯ザっぽい黒塗りのベンツとスキンヘッドの男がいた……みたいなことがあれば、それだけで購入に迷いが生じたりするものです。
また、住人以外に「マンション管理人」も大きな存在です。いざ住むとなると毎日のように顔を合わせる存在になりますからね。この管理人がちょっと口うるさいような人だとマイナス印象を与えかねません。
例えば、買い手を内覧に通す際に管理人が一番うるさく言ってくるとすれば、車で見学に来た時の駐車スペースについてです。あらかじめ管理人に内覧のことを伝えておき、来客用の駐車場に一時的に車を止める可能性もあると了承を得ておいた方が確実です。
もし、来客用の駐車場を使う事が出来ないのであれば、売主負担でも良いから近くのコインパーキングを利用して欲しいという事を不動産屋に話しておく必要があるでしょう。
内覧には売り主本人も立ち会った方がいいのか?
一般的には、初めての内覧には売り主はいない方がいいとされています。売り主が一緒だと内覧者の方が気を使ってしまい、リラックスして見回れないからです。とくに男性は絶対いない方がいいです。
もしあなたが毎回の内覧に同席していて、しかも毎回アレコレと内覧者に話しかけているとすると、もしかしたら申込却下されているのは”あなたのせい”かもしれません。(というのは言い過ぎかもしれませんが……)。
ひとまず、最初の内覧においては売り主は席を外した方がいいでしょう。どうしても同席したい理由があるなら、内覧者が部屋を見ている間だけ席を外してマンションの共有スペースで待っているなどした方がいいです。
最初の内覧でお客さんが好印象を持てば、後日もう一度内覧に来るかもしれません。その時は同席して周辺環境など「住人だから知っているポイント」を教えてあげるのも一つの手ですね。
まとめ
冒頭でも言った通り、内覧まで来ているということは集客はうまくいっています。部屋の間取りや設備、立地条件などスペック部分は買い手の要望をある程度クリアしているということですね。
その上で室内の状態や出迎えにネックがあれば、すぐに変えることです。また、広告に原因があるのであれば、アピールポイントを全面的に変えましょう。
購入まであと一歩のところなので、内覧にきた期待度100%のお客さんになるべく減点させないよう最善の準備をしておくことが大切です。
【追伸】自宅マンションがいくらで売れそうか把握していますか?
マンションの売却を検討しているのであれば、まず最初にすることが「査定に出す」ことです。自分のマンションがおおよそどの程度の価格が付くのか分からないと、住宅ローンや住み替えなど計画が立てられません。
査定は無料でできるので損することはないですが、一応マンションを査定してもらうときのポイントが2つあります。
まず複数の会社に査定依頼して「比較」をすること。
大手と中小のどちらにも査定してもらうこと。
まず、査定依頼は必ず複数社に出すこと。不動産会社によって付ける価格はバラバラなので、それを並べて比較することで相場感が見えてきます。最低でも4社以上には査定してもらいましょう。
そして、査定は大手だけでなく中小にも依頼すること。大手は抱えるデータ数も多いですがマニュアル化されているので機械的に数字を出しがちです。対して地元密着の中小は”狭く深く”であり、地元におけるより細部の内情まで熟知しているので大手には見えない面まで査定に反映してくれます。
近年は、大手も中小も含めて複数社に一括で査定依頼できる「一括査定サービス」があるので、わざわざ複数社にコンタクトする必要はありません。
例えば一括査定サービスの大手「イエウールでは、最大6社への査定依頼がわずか60秒で終わります。
公式HPイエウール
もちろん完全無料です。ひと昔前からは信じられないほど便利な時代になりましたね。
入力も超簡単で、マンション情報を入れるだけですぐに査定開始できます。
もちろん全国対応しているので、地方の人でも安心です。提携している大手中小合わせて最大6社の対応可能な不動産会社を自動で選択して見積もりを出してくれます。
マンションの目安価格が分からないと売却するもしないも判断できないので、まずはサクッと査定してもらうことから始めましょう。
マンションバブルの崩壊が不安な人は、現在の自宅マンションの価値がどうなっているか把握しておけば、今後取るべき行動も判断しやすくなると思います。