「マンションはいつが売り時か?」という話は良く話題に上がります。マンションの売り時を明言するのは難しいですが、現時点では”2020年東京オリンピックまでに売るべきかどうか”は論点と言えます。
言わずもがな、東京オリンピックは景気を大きく左右し、少なからずマンション価格に影響を与えるからです。
結論から言ってしまうと、わたし個人の意見としては東京オリンピックまでにマンションを売却した方が無難と言えるでしょう。
今回は、その理由を解説します。
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2020年には東京オリンピックというビッグイベントが控えており、マンションを高値で売るなら今が良いタイミングと言えます。
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今はすでに天井圏? 過去20年のマンションの価格推移を見てみよう
2018年現在、マンション市場は相場が右肩上がりで上昇しておりバブルだとされています。
下記は、過去20年のマンション価格の推移です。
マンションの価格推移は、上記のように平成17年からは右肩上がりになっており、過去最低の4,003万円(平成14年)と過去最高の5,518万円(平成27年)を比較すると約1.37倍にまで上昇しています。
2020年オリンピックの東京開催が決定したのが2013年。グラフを見ると、開催決定の2013年から上昇の勢いがグンとアップしているのがわかりますね。
そして、中古マンションも新築マンションの価格に概ね連動します。
下記グラフは中古マンション市場の価格推移ですが、新築同様に2018年時点で過去20年で稀に見るほど高水準に達しています。
このマンションバブルを牽引している要因としては、近年のインバウンド需要(外国人観光客)の高まりによるホテル宿泊施設の高騰に連動していることや、人手不足による建築費の高騰といった側面もありますが、2013年以降の伸びかたを見るに東京オリンピックが影響しているのも間違いないでしょう。
そう考えたとき、東京五輪まで残り2年を切った現在の相場はバブルの天井ではないか? という意見がすでに出始めています。
後述しますが、首都圏の高級タワーマンションを「爆買い」していた中国人投資家たちは、すでにマンションの投げ売りを始めています。
それとは別に、私が今のマンション市場が天井つまりピークにあるのでは? と考える理由に、マンションの売れ行きの指標となる「契約率」が下がっているという懸念点があります。
実は売れてない? マンションの契約率が70%を切る事態に……
マンション価格が上昇しているという事実はありますが、一方でマンションの売れ行き自体はあまり良くない……という一面があります。
マンションの売れ行きは、「契約率」という数字が重要になります。
マンションの契約率とは?
契約率は、新築マンションを初月で売り出し、その売り出した戸数がどの程度契約できたかの数値です。
たとえば初月で50戸売り出して、うち30戸契約すれば契約率は60%になります。マンションは戸数が多いので、一気に全戸を売りに出すわけではありません。
ディベロッパーは、初月にある程度売却できる戸数を計算して売り出すので、売れ行きが好調と判断された物件ほど初月に出す戸数は多くなります。
この契約率は70%が好不調の分かれ目と言われています。
契約率の推移|2017年度ですでに契約率は70%を切っている
ここ10年間の契約率の推移は以下の通り。
- 2008年:62.7%
- 2009年:69.7%
- 2010年:78.4%
- 2011年:77.8%
- 2012年:76.3%
- 2013年:79.5%
- 2014年:75.1%
- 2015年:74.5%
- 2016年:68.8%
- 2017年:67.3%
ご覧の通り、2016年時点で好不調の分かれ目となる70%を割っているのです。要するに、売れてないんですよね。
新築マンション 契約率70%割れ、17年度首都圏|日本経済新聞
マンション価格は右肩上がりで上がっているのに、売れてない。つまり価格が上がりすぎているために「高すぎて買えねぇよ」と消費者マインドが落ちてしまい、買い需要が相場に付いていっていません。
あるいは、「東京五輪が終わったらマンションバブルは崩壊するだろう」と考えている人が多いほど、いま高値で購入するのを渋って、2020年後に相場が下落するのを待ってから購入しようと手を控えます。こうした心理も、契約率の低下につながっていると考えます。
今後も契約率が下がりマンションの売れ行きが悪化すれば、各不動産ディベロッパーはマンション価格を下げざるを得ません。
そうなると、新築マンション価格と概ね連動する中古マンション価格も下がるということです。そのため、今後中古マンションを高く売れるチャンスは段々と減っていくと考えられます。
【追記】2018年、契約率が一時50%割れ
追記です。
不動産研究所の発表によると、2018年12月の初月契約率が49.8%と、ついに50%を割れるという異常事態だったようです。
契約率50%割れというのは、1991年の平成バブル崩壊したとき以来の事態ということで、マンションバブル崩壊の予兆とも騒がれています。
2019年に入って契約率は多少回復していますが、未だに70%割れの不況は続いている状態です。
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マンション価格の今後は?|東京オリンピックが相場下落の引き金になりそうな理由
ここまで示したように、現状データだけでも今がマンション相場のピークであることを感じさせるわけですが、それとは別に、東京五輪が相場下落の引き金になりそうな理由が2つあります。
1. 過去のオリンピック(長野五輪)の時もマンション価格は下落した
前例として、比較的近年に日本で開催された長野オリンピックのときのマンション価格推移を見てみましょう。
長野オリンピックの開催は平成10年だったので、その前後のマンション価格を調べてみると
長野五輪後の価格推移
- 平成10年(五輪開催):昨年より約-4.7%
- 平成11年:昨年より約-0.1%
- 平成12年:昨年より約-2.6%
上記のように、長野オリンピック後はマンション価格が下落しているんですよね。
もちろんオリンピック終了だけが要因ではありません。しかし、事実としてオリンピック終了後はマンション価格が下落しているので、今回も同じような軌跡になる可能性もあります。
ちなみに、直近でオリンピックを開催したロンドンやリオデジャネイロも五輪後には不景気が訪れています(五輪で一時的に盛り上がっていた熱気が冷めただけ……とも言えますが)。
2. オリンピック選手村の跡地で新たに4000戸の新規供給!?
もう一つの懸念点は、オリンピック開催に伴う新築マンション供給量です。
2020年の東京オリンピックに向けて、各国選手の宿泊施設となる「選手村」が建設されます。この選手村に大量に建設される宿泊施設は、五輪後は改装して分譲マンションや賃貸マンションとして市場に供給されるます。これが不動産市場にかなりインパクトのある供給量になります。
その数、中央区晴海に建設されるタワーマンションだけで約4000〜6000戸近いと言われています。SUUMOジャーナルによると、2017年の東京23区の供給戸数が約1万6千戸なので、選手村だけで4000〜6000戸の供給は大きな影響を与えるでしょう。
このようにマンション供給量が増える一方で、都心は70歳以上の高齢化が急速に進み、マンションの購入層である20代〜40代人口は減っていきます。ただでさえ、価格が高くなりすぎて誰も買わなくなり契約率が下がっているというのに……。
供給量が増え続けるのに需要が減っていくとなると、相場が下がっていくのは必然と言えるでしょう。
今後マンションはいつ売ればいい? 2020年東京五輪の年では遅い可能性
「東京オリンピックに向けてマンション市場はピークを作り、五輪終了後に下がっていく」というのはあくまで一般論です。実際には、そこに売主たちの心理合戦が入ってきます。
「2020年の東京五輪で不動産市場はピークになる」と言われていれば、多くの人は「みんなが売り始める前に、ウチは一足先に売りに出しておこう」と考えます。そうした「ピークの一歩前で売却しよう」という売主たちの心理が連動するため、実際には五輪開催前には売り合戦が始まると予想できます。
とくに、タワーマンションのような戸数の多い大型マンションは要注意です。常に大量の部屋が売りに出ているような状況になると、真っ先に価格競争に巻き込まれて値下げ合戦になるからです。
株式相場と同じく、頂点で売ろうとすると大体逃げ遅れるので、「上がってきた気がする。もう少し待てばもうちょっと上がるかな?」と思ったタイミングでもう売却した方がいいでしょう。
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現在の自宅マンションの価値がどうなっているか把握しておけば、今後取るべき行動も判断しやすくなると思います。
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【追記】2018年6月の民泊新法により、中国人投資家の投げ売りが加速している
追記です。
2018年6月15日に施行された「民泊新法(住宅宿泊事業法)」に伴い、中国人投資家のマンション投げ売りがすでに始まっているようです。
民泊新法とはいわゆる民泊の規制強化で、今後は民泊を運営するのに自治体への届け出が義務化され、営業日数も年間180日以内にすることなどの制限が加わることになりました。
今まで首都圏を中心にマンションを爆買いしていた中国人オーナーたちは、その物件を訪日中国人に貸し出す(つまり民泊)することで収益化していました。それが6月に施行された民泊の規制強化で継続が難しくなったことにより、日本市場に見切りをつけてマンションを売却後、撤退の流れが加速しているようです。
東京・新宿に16年、民泊への活用目的でワンルームマンションを買った中国人女性は「これ以上民泊は続けられない。東京五輪前で不動産価格が下がらないうちに売るつもりだ」と話す。
もちろん、中国人投資家だけではありません。所有物件で民泊運営している日本人たちも、規制強化により民泊を辞める人たちが急増中です。
それに伴い、五輪景気が続いている今のうちに高値で売却して少しでも資金回収して撤退しようと考えている人が多いよう。
一気に色んな物件が売りに出てきたので、理由を聞いていたら民泊の規制が強化されたという理由のオンパレードだった・・・
— 桂隆俊 (@taka_katsura) 2018年7月12日
民泊用物件は再来週の引き渡しで全て売却完了します。
今が一番高いかな。
さあ、6月から供給過多ですが、勝ち抜いてください。
— 応援 (@oen0en) 2018年5月13日
民泊OKで貸している物件の退去の通知がきてしもうた!笑
理由は、借主が民泊新法の影響で条件を満たせそうにないとのこと。
しかし近隣エリアの売買が活況とのことなので、売却益を狙って賃貸募集と並行して売却も検討することにしました。
民泊新法の影響を見事にウケてもうた!笑
— コアラ太郎@副業投資ブロガー (@koala_taro) 2018年6月12日
もしかすると、この民泊新法がマンション市場バブルを崩壊させる最初の火種になるかもしれません……。
(民泊新法について詳しくは下記記事を参照)
参考記事民泊新法により中国人のマンション売却が加速!市場相場の価格下落を招くか?
まとめ
「マンションを売却するなら東京オリンピック前に」というのは、あくまで私の考えです。専門家の意見を色々調べても同様の見解は多いですが、中には「首都圏のマンションならそう影響しないだろう」という人もいます。
相場に正解はなく、実際にどうなるかはその時にならないと誰にもわかりません。
ただ私は、いま分かっている以下の事実↓
- 東京五輪まで2年を切った今、マンション市場は確実に高値にある事実(バブル状態)
- 価格高騰しているのに、契約率は70%を切ってしまった(消費者マインドの低下)
- 東京五輪後に新たに供給される5000戸以上のマンションの存在
- 中国人投資家たちがすでに投げ売り始めている
- 過去のオリンピック開催後もマンション価格は下がっている
これらを考えると、やはり売るのであれば2020年東京五輪前に売却しておいた方がいいと思えるのです。
相場は大衆心理が作るものなので、私のように考える人が多ければ多いほど予想は現実化します。未来のことに関して100%確実なことは言えませんし責任も追えませんが、今回の記事を一つ参考にしてみてください。
【追伸】自宅マンションがいくらで売れそうか把握していますか?
マンションの売却を検討しているのであれば、まず最初にすることが「査定に出す」ことです。自分のマンションがおおよそどの程度の価格が付くのか分からないと、住宅ローンや住み替えなど計画が立てられません。
査定は無料でできるので損することはないですが、一応マンションを査定してもらうときのポイントが2つあります。
まず複数の会社に査定依頼して「比較」をすること。
大手と中小のどちらにも査定してもらうこと。
まず、査定依頼は必ず複数社に出すこと。不動産会社によって付ける価格はバラバラなので、それを並べて比較することで相場感が見えてきます。最低でも4社以上には査定してもらいましょう。
そして、査定は大手だけでなく中小にも依頼すること。大手は抱えるデータ数も多いですがマニュアル化されているので機械的に数字を出しがちです。対して地元密着の中小は”狭く深く”であり、地元におけるより細部の内情まで熟知しているので大手には見えない面まで査定に反映してくれます。
近年は、大手も中小も含めて複数社に一括で査定依頼できる「一括査定サービス」があるので、わざわざ複数社にコンタクトする必要はありません。
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マンションバブルの崩壊が不安な人は、現在の自宅マンションの価値がどうなっているか把握しておけば、今後取るべき行動も判断しやすくなると思います。