マンション作りすぎで首都圏の完成在庫は3000戸近く
首都圏を中心にマンション価格は年々上がっていてバブルの盛り上がりを見せていますが、実態としては供給があまりに過多で、需要が付いていっていない間が否めません。
一言で言うと、売れないのにマンション作りすぎと言えます。
実際にマンションの完成在庫数(※)は、マンションバブルが本格スタートした東京オリンピック開催決定の2013年ごろから年々増えていて↓
不動産経済研究所のデータによると、2018年は首都圏で3000戸前後の完成在庫が蓄積している状態です。
ちなみに、五輪開催が決まった2013年〜2014年の完成在庫数が1000戸〜1500戸なので、この5年間で完成在庫数は2倍に増えたことになります。
要するに、データで見ても分かる通り、今のマンション市場は在庫がたまりまくりなのです。
※「完成在庫」ってなに?
完成在庫とは、建物がすでに完成しているのに売れていない戸数のことです。
通常マンションディベロッパーは、マンション開発中から購入者を募り、完成と同時に全戸完売・引渡しを目標にしています。しかし売れ行きが悪いと開発中には完売せず、マンション完成から半年や1年経っても売れないような完成在庫も出てくるわけです。
完成在庫の詳しいことはこちら
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東京オリンピックが決定した2013年から好況を続けてきたマンション市場ですが、ここ数年で「バブル崩壊」が危惧されている理 ...
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今のうちにマンション売却しておくなら!
2020年には東京オリンピックというビッグイベントが控えており、マンションを高値で売るなら今が良いタイミングと言えます。
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建てても売れないのはマンション価格が高くなりすぎたから!
首都圏のマンション平均価格は約6000万!
東京オリンピックが決まった2013年から、マンション市場は新築も中古も価格が右肩上がりで上がっています。
2017年時点で、首都圏(1都3件)のマンション平均価格が約6000万円。東京23区に絞れば平均価格は約7000万円です。
6000万〜7000万のマンションなんて、一般のサラリーマン家庭が買えるかっつーの!!。
マンション購入世代は30代なので年収500万として、年収7倍の住宅ローン組んでも3500万……販売価格の半分にも満たないという。無理ゲーです、はい。
マンション契約率は、2017年度ですでに70%を切っている
完成在庫の積もり方を見てもお察しの通り、実際にマンション作るわりにあんまり売れてないわけです。その売れ行きは「契約率」という数字に表れます。
契約率とは、新築マンションを初月で売り出し、その売り出した戸数がどの程度契約できたかの数値です。この契約率は70%が好不調の分かれ目と言われているのですが、2017年時点ですでに70%を割っているんです。
ここ10年間の契約率の推移は以下の通り。
- 2008年:62.7%
- 2009年:69.7%
- 2010年:78.4%
- 2011年:77.8%
- 2012年:76.3%
- 2013年:79.5%
- 2014年:75.1%
- 2015年:74.5%
- 2016年:68.8%
- 2017年:67.3%
新築マンション 契約率70%割れ、17年度首都圏|日本経済新聞
マンション価格は右肩上がりで上がっているのに、売れてない。つまり価格が上がりすぎているために「高すぎて買えねぇよ」と消費者マインドが落ちてしまい、過剰な供給に需要が全く追いついていないことが分かりますね。
【追記】2018年、契約率が一時50%割れ
追記です。
不動産研究所の発表によると、2018年12月の初月契約率が49.8%と、ついに50%を割れるという異常事態だったようです。
契約率50%割れというのは、1991年の平成バブル崩壊したとき以来の事態ということで、マンションバブル崩壊の予兆とも騒がれています。
2019年に入って契約率は多少回復していますが、未だに70%割れの不況は続いている状態です。
そもそもなぜマンション価格はこんなに上がっているの?
よく言われる理由としては大きく3つあります。
- インバウンド需要(外国人観光客)の高まり
- 人手不足による建設業界の人件費高騰
- 東京オリンピック
それぞれもう少し詳しく説明しておくと……
外国人観光客の増加によるインバウンド需要の高まり
日本を訪れる外国人観光客の数が年々上昇していて、外国から国内にもたらされる人・モノ・お金(インバウンド)も高まりを見せています。
それにより、まず外国人観光客向けの高級ホテルなど宿泊施設の用地取得コストが高騰しており、それに連動するようにマンションや他建物の相場も連れ高になっているわけです。
また、日本のインバウンド需要に目をつけた中国人投資家が最近まで首都圏のタワーマンションを爆買いしており、訪日する中国人に「民泊」で貸して儲けるというビジネスが盛んでした。こうして外国人投資家が高級マンションを買いまくったことも価格高騰に大きく影響しました。
しかし、2018年に施行された「民泊新法」により外国人の民泊経営が厳しくなったため、中国人投資家たちは現在すでにマンション投げ売りを始めているというニュースも出ています(詳しくは下記記事)。
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民泊新法により中国人のマンション売却が加速!市場相場の価格下落を招くか?
2018年に入り、それまで日本のマンションを買いあさっていた中国人投資家たちのマンション投げ売りが加速しています。 理由 ...
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人手不足による建築業界の人件費高騰
2018年に有効求人倍率がバブル水準を超え、いまは就職市場は空前の売り手市場になっています。その中でも建設・土木業界は3K(きつい・危険・きたない)のイメージが強いためか、とくに深刻な人手不足に陥っています。
そのため建設現場の人件費がどんどん高騰しており、それに伴いマンションの建築費も高騰します。するとマンションデベロッパーは高くつく分のコスト(=建築費)を販売価格に乗せるため、人件費高騰の波に平行するようにマンション価格も高騰してきた……というわけであります。
2020年の東京オリンピック開催
いわゆる「オリンピック景気」とうやつですね。マンション価格は、東京五輪が決まった2013年から勢いつけて伸び始めており、オリンピックが影響しているのは明白でしょう。
ただ、もしこのマンションバブルが東京五輪へ向けて作られたものだとすると、オリンピックまで残り2年を切った現在がすでにバブル天井ではないか? と私は考えています。
すでに70%を割った契約率や、積み増される完成在庫を見れば、需要が供給に追いついていないのは明らかであり、このままだとデベロッパーは販売価格を下げるしかなくなる。もちろん、新築市場が下がれば中古市場も圧されるように下がります。
首都圏への人口集中やインバウンド需要などを考えると、東京はじめ首都圏ならまだ「崩壊レベル」の下落はしないかもしれませんが、地方郊外のマンションは危ういと思っています。急激な少子高齢化で空き家率の懸念もありますしね。
2020年東京オリンピック前後のマンション価格については下記記事で詳しく買いているので、売却検討している人は参考にしてください。
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マンションは2020年東京オリンピックまでに売却すべき理由。今後のマンション価格をデータで検証してみる。
「マンションはいつが売り時か?」という話は良く話題に上がります。マンションの売り時を明言するのは難しいですが、現時点では ...
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【悲報】新築マンションの供給は今後も増える
新築マンションの大量供給は、今後も止まる気配がありません。
2020年の東京オリンピックに向けて、各国選手の宿泊施設となる「選手村」が建設されます。この選手村に大量に建設される宿泊施設は、五輪後は改装して分譲マンションや賃貸マンションとして市場に供給されます。
その数、中央区晴海に建設されるタワーマンションだけで約4000〜6000戸近いと言われています。
参考までに、SUUMOジャーナルによると2017年の東京23区の供給戸数が約1万6千戸なので、選手村跡地の高層マンションだけで東京23区の年間供給の1/3相当の供給がされるわけですね。半端じゃないです。
この過剰供給によってこれ以上新築が在庫マシマシになると、新築市場も中古市場もまるごと押し下げる未来しか見えません……。
近い将来マンションの売却を検討している人は、今が結構大事なタイミングかもしれないことを頭に入れておきましょう。未来がどうなるかは誰にも分かりませんが、今がバブルピークである可能性も考慮して、現状価格を知る目的で査定に出してみるだけでもしておいた方がいいかもしれません。
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まとめ
2000年代に入ってタワーマンションが乱立したおかげで、マンション供給戸数が一気に増えましたよね。タワーマンションは少ない敷地面積に大量の人間を押し込むことができるので、デベロッパーにとっては非常に稼ぎ効率のいい「ドル箱」なので仕方ありません。
ただ、販売側にあの手この手で夢を見せられて購入した側は結構大変です。供給過剰でマンション相場が下落に転じるリスクもありますし、大規模修繕工事を前に、毎月の修繕積立金もどんどん値上げされて負担が重くなってきます。
参照修繕積立金が高すぎる!相次ぐ値上げでマンション売却を検討する人も
価格高騰・供給過多で風船はどんどん膨らんでいるように見えますが、五輪前後でパンと破裂するのか、ゆっくりしぼむのか、あるいは何も起こらないのか……私も今後のマンション市場は興味深くウォッチしたいと思います。
【追伸】自宅マンションがいくらで売れそうか把握していますか?
マンションの売却を検討しているのであれば、まず最初にすることが「査定に出す」ことです。自分のマンションがおおよそどの程度の価格が付くのか分からないと、住宅ローンや住み替えなど計画が立てられません。
査定は無料でできるので損することはないですが、一応マンションを査定してもらうときのポイントが2つあります。
まず複数の会社に査定依頼して「比較」をすること。
大手と中小のどちらにも査定してもらうこと。
まず、査定依頼は必ず複数社に出すこと。不動産会社によって付ける価格はバラバラなので、それを並べて比較することで相場感が見えてきます。最低でも4社以上には査定してもらいましょう。
そして、査定は大手だけでなく中小にも依頼すること。大手は抱えるデータ数も多いですがマニュアル化されているので機械的に数字を出しがちです。対して地元密着の中小は”狭く深く”であり、地元におけるより細部の内情まで熟知しているので大手には見えない面まで査定に反映してくれます。
近年は、大手も中小も含めて複数社に一括で査定依頼できる「一括査定サービス」があるので、わざわざ複数社にコンタクトする必要はありません。
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マンションの目安価格が分からないと売却するもしないも判断できないので、まずはサクッと査定してもらうことから始めましょう。
マンションバブルの崩壊が不安な人は、現在の自宅マンションの価値がどうなっているか把握しておけば、今後取るべき行動も判断しやすくなると思います。