特徴別の売却ポイント

告知義務・タイミングは?自殺・事件があった事故物件の売却ポイント【心理的瑕疵】

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自殺や事件があった物件は事故物件とされ、当然ですが一般的には売りにくい物件になります。

ただ、事故物件の定義は実はけっこう曖昧であり、事故物件やそれに近いネガティブ要素を含んだ物件を売る際には「心理的瑕疵(しんりてきかし)」というポイントが非常に大きな争点になります。

心理的瑕疵とは簡単に言うと、”購入者がその事実により物件に住みたくないと思うか”という点です。事故物件はこの心理的瑕疵が争点となってトラブルも多いため、事故物件を売却する際は細心の取り扱いが必要になります。

この記事では、事故物件の売却において知っておくべきことを詳しくまとめていきます。

 

事故物件の定義はあいまい?

自殺や事件のみでなく、嫌悪施設の存在も事故物件

事故物件とは一言でいえば、その物件の室内や敷地内で自殺や事件、事故死などがあった物件のことです。ただし、実際には事故物件の定義は明確に定まっているわけではなく、購入者が心理的瑕疵を負うかどうかがポイントになります。

要するに、購入者がその事実を知ったときに「住みたくない」と思うかどうかがポイントとなるわけです。

その意味で「事故物件」とは何も事件や事故のあった物件のみを指すわけでなく、広義の意味では、

  • 火葬場が近くにある
  • 墓地が近くにある
  • 暴力団事務所や宗教団体の事務所が近くにある

といった「嫌悪施設」の存在も事故物件に含まれます。

繰り返しますが、”それ”があることで購入者が住みたくないと心理的不安を負うか否か、がポイントです。

心理的瑕疵の範囲もあいまい

当然ながら、どこまでを心理的瑕疵と扱うか? も明確な線引きはなく、判断は取引の当事者たちに委ねられます。

たとえば、1年前にその部屋で自殺があった物件は、誰が考えても間違いなく事故物件となるでしょう。しかし、自殺から15年が経っていたらどうでしょうか? 判断が難しくなります。

窓を開けて目の前に墓地が広がっていれば、購入者が嫌がる(心理的瑕疵あり)ことは誰でも分かります。でも、墓地から300m離れていたらどうでしょう? 500mなら?

このように、心理的瑕疵は明確な線引きがないため扱いが難しいのです。

参考までに、もう少し具体的なケースとして以下のような物件は事故物件と言えるでしょうか?

事故物件と言える?

  • 3つの棟に分かれている大型物件のケース
  • 目の前の道路で事故死があった

以下に詳細を記載しますが、結論からいうと事故物件というべきかどうかは微妙なラインです。

ただし、引渡後に訴訟問題に発展するケースもなくはないので、少しでも事故物件と認定されそうであれば事実を伝えておいた方が良いでしょう。

宅地建物取引業法47条1項では、「取引の判断に重要な影響を及ぼす事項があるとき故意に事実を伝えない行為」を禁止としています。

この「重要な影響を及ぼす」という部分が事故物件の内容であり、広い意味として捉えられるため事故物件の定義は曖昧なのです。

例に出した2つのケースで考えてみましょう。

3つの棟に分かれている大型物件のケース

たとえばA棟、B棟、C棟に分かれている、総戸数800戸を超える大型マンションに住んでいたとします。仮に、5年前にC棟のある部屋で自殺が起こった場合、A棟の部屋を売却するときには事故物件という扱いになるでしょうか。

A棟とC棟は直線距離にして50m以上離れているので、もはや別のマンションと言ってもいいくらいです。しかし、あくまで同じ物件内という扱いになるので、自殺した部屋があると懸念する人はいるはずです。

そのため、事故物件と告知した方が無難というわけです。

目の前の道路で事故死があった

たとえば一戸建てに住んでいて、6年前に家の前の道路で自動車事故があり、1人の男性が亡くなったとします。その際、その男性が横たわっていた部分に敷地の一部があったので、事故物件になるかどうか迷っているという話です。

道路での事故なので関係ないように思いますが、敷地の一部にまたがってしまっているので事故物件と認識する人もいます。

そのため、このようなケースも事故物件と告知した方が無難と言えるでしょう。

事故物件の告知義務はあるの?

事故物件(心理的瑕疵)については、買主の立場にたって考えるのが大前提です。買主の気持ちを第一に考えなければなりません。

つまり、「もし買主が”その事実”を知ったら契約を考え直すかもしれない」と思われる場合は、売主あるいは仲介会社から買主へ”その事実”を告知・説明する義務があります。

当然ですが、「心理的瑕疵あり」と公表することで、物件の価値は下がります。ケースバイケースですが、資産価値が7割に落ちるのは普通。物件によっては5割落ちになるなんて場合もあります。

売主からすると売却価格に絶大な影響が出るため、ネガティブ情報を告知したくないと売主も当然います。しかし、そうやって告知せずに隠したまま売却すると、十中八九、売却後にトラブルになります。

繰り返しますが、事故物件の取り扱いは買主の立場を第一に考えるのが大前提です。売主側も告知により影響を受けますが、そこは真摯に対応した上で、不動産会社と良く相談して売り出し価格を決める必要があります。

 

事故物件を売却するポイント

このように、事故物件は価格が下がるというデメリットがありますが、そんな事故物件を少しでも高く売却するポイントは以下です。

事故物件売却のポイント

  • 告知するタイミング
  • 早めに売る
  • 価格を下げて売る
  • 更地にして売却する
  • リフォームして売却する
  • 買取を依頼する

告知するタイミング

まず、事故物件であることを買主に告知するタイミングは、買主が来訪して検討が進みそうなときが良いでしょう。

最初の段階で伝えておくべき理由は、

  • 検討が進んでからだと不信感を持つ
  • 値引き交渉が激しくなる

といったところ。

物件の購入検討者は、同じエリアでほかの物件も検討しているケースが多いです。そのため、検討が進んだ段階で告知すると、不信感を募らせ他の物件を検討し始める可能性が高くなります。

また、「最初に言ってくれれば検討しなかった。ほかの検討物件は先に申込を入れられてしまった」という理由で大きな値引き交渉をされる可能性もあります。

早めに売る

事故物件は、とにかく早く売ることは大切です。なぜなら、マンションも一戸建ても売却が長引くほど「売れ残り物件」として認知されるからです。

売れ残り物件と認知されれば、事故物件でない通常の物件でも売りにくくなります。

そのため、事故物件であればなおさら「事故物件だからみんな嫌がるんだな・・・」と思われてしまい、ずるずると売却活動が延びる可能性があります。

価格を下げて売る

また、事故物件は価格を下げて売るべきです。なぜなら、事故物件は集客数が最も大切だからです。

というのも、そもそも「事故物件」という理由で即検討を取り止める人もいるので、まずは事故物件でも検討してくれる人も探さなくてもいけません。

そうなると多くの集客が必要であり、集客を多くする最も効果的な方法が価格を下げて売り出す方法だからです。

相場よりどのくらい下げるかは不動産会社と相談するべきですが、「後から値引けばよい」という戦略で、相場並みで売り出すのは避けた方が良いでしょう。

更地にして売却する

仮に、一戸建ての事故物件を売却する場合は、建物を解体して更地にしてから売却するという方法もあります。仮に、室内で事故死や自殺などがあれば、その建物を取り壊すことで、買主の心理的瑕疵が軽減されるからです。

木造一戸建ての場合、築20~25年を経過していると建物部分の査定額はゼロになります。そのため、築古の場合は解体前提で購入する人も多いため、最初から解体して売却しても売却価格はさほど変わりません。

事故物件は更地にして駐車場に変えるというのも、よくある手です。駐車場なら利用者もそこまで気にしないですからね。

リフォームして売却する

マンションの場合は解体できないので、リフォームするという方法もあります。たとえば、間仕切壁なども全て取り払い全面リフォームすれば、買主の心理的な瑕疵が多少和らぐこともあります。

ただし、全面リフォームには費用がかかるため、売却するためだけにリフォームするのは避けましょう。

予期せず事故物件になってしまい、将来的に売却することを視野にいれリフォームしたいというときだけにすべきです。

注意点は、前項の解体もそうですが、解体やリフォームしたからといって告知義務がなくなるわけではないという点です。

買取を依頼する

上記のようなポイントを押さえたとしても売れない場合は、不動産会社に買取を依頼すると良いです。

買取とは、不動産会社に仲介を依頼するのではなく、不動産会社に物件を購入してもらうことです。不動産会社は、買い取った物件をリノベーションして売却したり賃貸に出したりします。

ただし、買取する場合には相場価格より売却価格が落ちるリスクを理解しておきましょう。一般的な不動産でも相場価格の7~9割程度まで価格が下がるので、事故物件の場合はさらに下がるリスクがあります。

そのため、複数の不動産会社に査定依頼をして、高く買い取ってくれる不動産会社を探す必要があります。

買取について詳しくは下記記事にまとめていますので参考にしてください。

まとめ

まずは、事故物件の定義は曖昧な点と、告知義務を理解しておきましょう。その後に、売却するポイントを押さえ、どのように売却するかを検討します。

相場価格より売却価格は下がることが多いですが、少しでも高く売るための方法を良く検討することが大切です。

 

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まず複数の会社に査定依頼して「比較」をすること。

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