マンション市場考察

【2019年】増えすぎ?新築マンションの完成在庫の推移|値引き交渉で安く購入できるチャンス

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東京オリンピックが決定した2013年から好況を続けてきたマンション市場ですが、ここ数年で「バブル崩壊」が危惧されている理由の一つに「完成在庫の増加」があります。

完成在庫とは、建物がすでに完成しているのに売れていない戸数のこと。

通常マンションディベロッパーは、マンション開発中から購入者を募り、完成と同時に全戸完売・引渡しを目標にしています。しかし売れ行きが悪いと開発中には完売せず、マンション完成から半年や1年経っても売れないような完成在庫も出てくるわけです。

完成在庫が積み上がっているということは、シンプルに”売れてない”ってこと。

では実際にどれほど完成在庫が増えているのか、推移をデータで見てみましょう。

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【首都圏】2018年〜2019年 新築マンション・建売の完成在庫の推移

下記の不動産経済研究所のデータによると、2018年〜2019年現在は首都圏で3000戸を超える完成在庫が蓄積している状態です。

2018年の完成在庫数推移

マンション完成在庫 2018年

2019年の完成在庫数推移

マンション完成在庫推移 2019

五輪開催が決まった2013年〜2014年の完成在庫数が1000戸〜1500戸だったので、この5年間で完成在庫数は2倍に増えたことになります。

下記のマンション在庫率の推移を見ても、2014年を底にして在庫率・完成在庫率が上昇しているのが分かります。

 

新築マンションの完成在庫が増えている理由は、価格が高すぎて誰も買えないから!

完成在庫が積み上がりまくってる理由として、もちろんマンション作りすぎ問題もありますが(しかも五輪後は選手村跡地から5000戸近く新規供給される……)、一番の理由はシンプルにコレ。

新築マンション高すぎ問題。

もうね、首都圏なんかはマンションバブルのおかげで一般庶民には手が出せないくらいマンション価格が上がっているわけです。

首都圏のマンションの平均価格は6000万円近く

不動産経済研究所の「首都圏のマンション市場動向(2019年7月度)」によると、現在の新築マンション価格の推移がこちら↓

ちょっと見にくいのですが、2019年はおよそ平均5500万円〜6500万円の間で推移している状況です。

(ちなみに、東京23区に絞ると平均7000万円くらい)

仮に間をとって6000万円だとしましょう。「買える家は年収の5倍以内」とか「7倍以内ならイケる」とか色々と説はありますが、仮に年収の7倍でOKだとしても6000万円のマンションを買うのに必要な年収は850万円です。

給与所得者全体の平均年収400万円台なので、もはや一般人には買えないレベルと言っていいでしょう。

結婚して夫婦で買うから世帯年収で勝負するとしても、70㎡くらいの間取りだと平均7000万円くらいします(東京都)。となると年収1000万円以上は必要として、世帯年収でも一般平均ではキツい……。

国民の所得が上がっていないのに、マンション価格だけがグイグイ上がったのが現状。そりゃ購買力は下がるよねという当たり前の話です。

マンション契約率は不調のラインである70%を切っている

完成在庫の積もり方を見てもお察しの通り、実際にマンション作るわりにあんまり売れてないわけです。その売れ行きは「契約率」という数字に表れます。

契約率とは、新築マンションを初月で売り出し、その売り出した戸数がどの程度契約できたかの数値。この契約率は70%が好不調の分かれ目と言われているのですが、首都圏の契約率はここ数年70%を割っているんです。

首都圏のマンション市場動向(2019年7月度)より)

首都圏の契約率をみると、2019年は3月に72.2%を出したのみで、あとは60%台後半で停滞しています。2018年の年末なんか50%を割ってニュースになっていましたね。

参照マンション市場でバブル崩壊開始か 初月契約率が50%未満に(livedoorニュース)

マンション価格は右肩上がりで上がっているのに、売れてない。つまり価格が上がりすぎているために「高すぎて買えねぇよ」と消費者マインドが落ちてしまい、過剰な供給に需要が全く追いついてきていません。

もはや首都圏の新築マンションは一般庶民には手の届かない次元になってしまっているのです…。

中国人など海外投資家たちの”爆買い”もすでに終了……。

それでも2014年〜15年くらいまでは、投資目的の外国人投資家(主に中国人)が首都圏の新築マンションを「爆買い」しまくったおかげで高値の新築でもバンバン売れていました。

しかし、東京オリンピックが間近となるにつれ外国人投資家の新規の買いは収まり、東京オリンピック間近の現在はマンションバブルの崩壊を危惧して、2014年前後に爆買いした物件の利確売りの動きに傾き始めています。

参考記事マンションは2020年東京オリンピックまでに売却すべき理由。今後のマンション価格をデータで検証してみる。

セカンドハウスや訪日中国人への民泊需要で高級マンションを爆買いしていた中国人投資家も多かったのですが、2018年6月15日に施行された「民泊新法(住宅宿泊事業法)」によって中国人オーナーの民泊運営が非常に難しくなったこともあり、中国人投資家がマンションを投げ打っているという話もあります。

参考記事民泊新法により中国人のマンション売却が加速!市場相場の価格下落を招くか?

いずれにせよ、日本の一般層が買えないような価格でも爆買いしてくれていた海外投資家の金持ちたちが「買い」から「売り」に転換してたおかげで買い勢力がなくなったことは、契約率が下がって在庫が捌けなくなった大きな要因でしょう。

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新築マンションの完成在庫は値引き交渉で安く購入できるチャンス?

完成在庫が増えている……と言うと景気的には良くない兆候ですが、これからマンションを買おうとしている購入者にとってはメリットになる面もあります。

なぜなら、完成在庫は1割程度の値引きで販売されるケースがあるからです。

デベロッパーとしては、完成在庫は少ないに越したことはなく1日でも早く売りたいところ。マンションが完成しているのに広告が出ていれば売れ残っているのはバレバレであり、ひとたび「売れ残り」というイメージがついてしまうと余計に売れなくなるマンションという商品ならなおさらです。

なので、早く完売させるために多少は値引きしてでも売ろうとするわけです。

竣工直後ならまだ分かりませんが、1年以上も売れ残っている物件であれば積極的に値引き交渉していいでしょう。3000万円の物件であれば、値引きで2500〜2700万円くらいで購入できる可能性は全然あります。

管理人
マンションの公式サイトで販売促進のキャンペーンなどを展開していれば「売り急いでいる」一つのサインと見られます。積極的に値引き交渉してみましょう。

値引き交渉の際は、遠回しに値引き願望を匂わすと嫌われるので、「2500万円なら買います」みたいに分かりやすくストレートに交渉しましょう

ただ、財閥系の大手デベロッパーは値引きに応じないところも。1500戸以上の完成在庫を抱えるマンション王者の住友不動産も値引き販売については否定していますし、大手ほど体力があるので売り急ぐ必要がないのでしょう。

 

まとめ

完成在庫がここまで積み上がった理由は、実質賃金が下がり続けているのにマンション価格が上がり続けるのでもはや誰も買えず、さらには外国人投資家の爆買いもなくなってしまったのが大きな要因です。

いまだにマンション市場は高値止まりしている状況ですが、2020年のオリンピックや2022年問題、さらにAIによるデータでは2025年がマンション暴落の引き金になると言われていたりして、積み上がったジェンガはもういつ崩れてもおかしくない状況のようです。

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【追伸】自宅マンションがいくらで売れそうか把握していますか?

マンションの売却を検討しているのであれば、まず最初にすることが「査定に出す」ことです。自分のマンションがおおよそどの程度の価格が付くのか分からないと、住宅ローンや住み替えなど計画が立てられません。

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まず複数の会社に査定依頼して「比較」をすること。

大手と中小のどちらにも査定してもらうこと。

まず、査定依頼は必ず複数社に出すこと。不動産会社によって付ける価格はバラバラなので、それを並べて比較することで相場感が見えてきます。最低でも4社以上には査定してもらいましょう。

そして、査定は大手だけでなく中小にも依頼すること。大手は抱えるデータ数も多いですがマニュアル化されているので機械的に数字を出しがちです。対して地元密着の中小は”狭く深く”であり、地元におけるより細部の内情まで熟知しているので大手には見えない面まで査定に反映してくれます。

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